このページの本文へ

金融向けの情報配信からグローバルサービスプロバイダーへ

SLAを用途で使い分けるサヴィスの仮想データセンター

2011年02月02日 09時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

2月1日、サヴィス・コミュニケーションズ(以下、サヴィス)は同社のサービスについて説明を行なうプレスイベントを開催した。通信事業者とデータセンター事業者という2つの顔を持つ同社もクラウドへの注力を進めている。

インテルのデータセンターとC&Wのインフラで事業展開

 サヴィス・コミュニケーションズはグローバルでデータセンターとネットワークを手掛けるサービスプロバイダ。もともとは金融系の情報をいかに効率よく配信するかといった問題解決を目指して設立されたという。米国、カナダ、ヨーロッパ、アジアなど全世界31拠点にデータセンターを持つほか、全世界規模のMPLSネットワークを運用管理するティア1のISPである。また、データセンターにおける金融グローバルエクスチェンジマーケットデータの収集とネットワーク配信を行なっている。

サヴィス・コミュニケーションズ 営業本部 統括ディレクター 磯村広紀氏

 同社の現在のビジネスの基盤となっているのが、2003年にインテルから譲り受けたホスティング事業のインフラだ。これに加え、2004年にはケーブル&ワイヤレスを買収したことで、同社が抱えていた旧エクスダスやデジタル・アイランドなどの15のデータセンターと共に、ティア1ネットワークが同社の資産となった。これをベースにコロケーションやホスティング、クラウドサービスを提供している。

サービスプロファイルの異なる仮想データセンター

 サヴィスは古くから仮想化技術を導入しており、2004年に従量課金のユーティリティコンピューティングサービスをスタートさせている。その後、クラウドコンピューティング「Savvis Symphony」をいち早く展開し、2007年にイージェネラと3PARで構築されたインフラをホスティングするという「Savvis Symphony Dedicated」、2009年にVMware、HP、シスコなどの製品を組み合わせたインフラの「Savvis Symphony Open」をリリース。「マルチテナント型のサービスにおいても、CPUはあくまで1ユーザーにのみ提供するので、処理能力は保証されています」という。

サヴィスのホスティング、クラウドサービス

 そして2010年には、データセンター自体を仮想化した「Savvis Symphony VPDC」をリリースしている。VPDCでは、ミッションクリティカルやエンタープライズ/Webホスティング、テスト/開発など異なるプロファイルを持っており、SLAやストレージの階層化、ネットワーク帯域、ファイアウォールのレベルなどが異なる。ユーザーは用途に応じたプロファイルをポータルから割り当てると、プロビジョニングが行なわれ、自動的にリソースが調達する。クラウドサービスというと単一のサービスレベルポリシーで運用されることが多いので、こうした特徴は非常にユニークといえる。インフラはシスコのUCSやHPのサーバー上にVMwareを載せた仮想サーバー環境と、コンペレント製の階層化ストレージを用いている。このように利用しているハードウェア等を明確に公表しているところも珍しい。

異なるプロファイルを持つ仮想データセンターSavvis Symphony VPDC

 ここまではおもにインフラの従量課金型提供ということで、いわゆるIaaSの領域になるが、各種のOSやアプリケーションの運用管理も請け負っており、高いレベルのアウトソーシングが可能になっている。また、低遅延でリアルタイムな情報配信を実現する金融系のシステムは多くの実績があり、トムソン ロイターなどの金融クラウドなどの請け負っているという。国内はまだマネージドサービスがメインで、クラウドサービスを本格的に提供していないのが現状だが、今後は早い段階で投入を進めるという。

カテゴリートップへ