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ミクZ4、3年目の本気! SUPER GT激闘記 第1回

グッドスマイルカンパニー・安藝社長ロングインタビュー

右京、可夢偉、谷口がミクGTに続々参戦!

2011年02月06日 14時00分更新

文● 末岡大祐/ASCII.jp編集部

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豪華すぎる今期のチーム体制

──ところで、今期の体制ですが……

安藝 まず、パートナーがCOXからStudieになったことで、マシンが「ポルシェ 911 GT3 R」から、「BMW Z4 GT3」になり、タイヤはHANKOOKからADVANへ変更。メンテナンスファクトリーは、昨年までRE雨宮さんを担当していたRSファイン。チーム代表にStudieの鈴木さん。監督は去年に引き続き大橋監督。そして、スポーティングディレクターとして元F1ドライバーの片山右京さんスペシャルサポーターとして現役F1ドライバーである小林可夢偉選手を迎えます。Aドライバーに谷口信輝選手。Bドライバーにお馴染みの番場 琢選手という必勝の布陣で戦います。

これとは違うマシンだが、あのミクZ4が帰ってくる!

──うわあ~、これはヤバイ。でも逆にプレッシャーですよね。

安藝 そう、ここまでして勝てなかったらどうすんだっていう(笑)。谷口選手は当然ながらいろんなチームから誘いがあったんです。そろそろタイトルが欲しいので、必勝体制のチームを強く望んでいました。最初はうちのチームに難色を示していたんですよ。ほら、番場選手がやらかしたのを目の前で見てるじゃないですか(笑)。

──谷口選手は、自身のブログにも最終戦のスピンのことを書いてましたね(笑)

安藝 あのスピン以外にも、やらかしているのを散々見ていますからね。でも、僕は「Bドラは番場選手じゃなきゃイヤだ!」と頑として譲らなかった。そこをどう説得するか、大橋監督が大いに苦しんだわけです(笑)。

──ちょっと意外なんですけど、てっきりもう番場選手を使わないのかと思っていました。安藝さんの、最終戦から先ほどまでの話を聞いている限りは。許さないんですよね?(笑)

安藝 もちろん絶対に許しません(笑)。しかし、彼にはチャンスが必要だと思っているんですよ。一発の速さを持ってるじゃないですか。しかし、経験不足は否めないので、ここで再びGTに乗れないと、この先ドライバーとしてはちょっと厳しいと思うんです。だから、このチームで育てたい。やらかしグセも直さないとね(笑)。

──なんというツンデレ(笑)。番場選手が残ってくれて私も嬉しいですけど、個人スポンサーのみなさんも喜ぶと思います。あの人懐こいキャラは貴重ですから。

安藝 今年は谷口選手の元で、プレッシャーに耐えつつ、どんどん成長してほしいですね。

今年は谷口選手をサポートすることになった番場選手(左)

個人スポンサーをやってわかったことと
レースにおける広告効果

──GSRは、GTで個人スポンサーというシステムを最初に始めて、それが去年は他のチームにも波及したほどでした。個人スポンサーをやり始めて約2年ちょっとですが、わかってきたことはありますか?

安藝 個人スポンサーと一言で言っても、大きく分けると2タイプいますよね。レースを応援したいという人たちと、グッズだけ買いたいって人たち。われわれとしては誠実にその両方に向かい合わないといけません。魅力的な商品を提供することと、レースのリザルト・情報サービスなどを両立させないといけないということを、より把握できたと思います。今後はもう少し踏み込んだ情報提供と商品開発をしていこうかと。

 レースに興味がないねんどろいどファン、GSCファンの人たちには、いつもよりちょっと余分にお金を出してもらっているので「ゴメンね、付き合わせて」って気持ちが正直ありますが、レースを見てくれて面白いと感じていただければ、相殺されるのかな(笑)。

──では、GTにメインでスポンサードしてみて、レースにおける広告効果はいかがですか?

安藝 われわれがレースにスポンサードすることで、広告効果があるかと聞かれれば、恐らくほとんどないでしょう。しかし、一方でそういうこともやっているということは、グッドスマイルというブランドとして、ビジネスチャンスが増えるということでもあるんです。例えば海外だと、レースって文化事業扱いなんですよ。だから文化事業に貢献していると見なされて(ミニカーの)ライセンスの許諾が下りやすくなったり、話が通りやすくなったり、いろいろとやりやすくなるんです。会社のプロフィールに「フィギュア作ってます」、「アニメ作ってます」、「レースにスポンサードしてます」といろいろ書いてあると、先方との会話も弾みますしね。エンターテインメントをやっていて文化貢献をしているということは、一定の評価に繋がるんです。海外も含めて、われわれが(交渉の)席に座れるようになったという効果はあったと思います。

レースは海外では文化事業なのだ

──海外にはモータースポーツが盛んな国が多いですし、そこに日本のメーカーが関わっているとなると一目置かれるのかもしれませんね。

安藝 そうですね。海外でもキャラクターカー・痛車でレースをやっていることは、一定の話題になっています。それをプロデュースしていることに対しても評価されているし、「この会社となら面白いことができるかも」みたいな見方をしてもらえます。これも効果のひとつですし、うちのスタッフがレースに関わっていくことで、エンターテインメントの幅が広がっていくという、内部的な効果もあります。現在、ホビーメーカーが手を出していないところに加わっていますから、われわれが新たに何をやろうとしても、誰も違和感を持たないんですよ(笑)。

──最近はグッスマさんはいろんなところで活躍していますよね。オリジナルアニメをやったり、レースやったり、イベントやったり。

安藝 「フィギュアだけ作ってろ!」という意見もありますけどね(笑)。でも他のことをやっているからといって、決してフィギュア制作の手を抜いているわけではありません。かといって、余力があって他のことをやっているわけでもない。それぞれに対して真摯に当たることで、これまで作れなかったフィギュアが作れるようになるなど、新しいコンテンツが生まれたり、新しい関係を築けたりと、すべてに良いことがあるんですよ。

──ポルシェAG公認のレーシングミクミニカーなんてそうですよね。

安藝 よく出せましたよね(笑)。ポルシェの記念碑的な商品になりますよ。ポルシェが公認した、一番面白い商品じゃないですか? あと、“ポルシェモータースポーツナイト”ってイベントで、ポルシェから表彰されたんですよ。モータースポーツに貢献したということで。残念ながら僕は都合が合わなくて出席できなかったんですけど。

──それは素晴らしい! あの痛車をフェルディナンド・ポルシェ博士に見てもらいたかったですね(笑)。1年間ポルシェで戦って、かなり得るものがあったんじゃないかと思いますが。

安藝 大橋監督や番場選手は、特に得るものがあったかと思います。なによりポルシェというクルマの強さを思い知りました。全戦走りきってるし、ノントラブルだし、速いし。メンテナンスフリーですよ。そもそもエンジンなんて開けさせてももらえないし(笑)。そのおかげでレースに集中できました。FIA-GT車両の走らせ方もわかったし、それが今シーズンに活きてくるのだと思います。

──今シーズンもかなり期待してます! ASCII.jpとしては、今年も応援シートを開催する予定ですが、チームから見て、応援シートの存在っていかがですか?

安藝 まず、第一に非常に心強いです。そして第二に面白い(笑)。みなさん、われわれの一挙手一投足にもの凄い反応してくれるじゃないですか。手を振ったら必ず振り返してくれるでしょ? それが面白くて。ライブ会場のコール&レスポンスみたいで、ファンと一体感が得られていいですね。今年はピットと応援シートで、無線とか使って会話したいんですけど、どうですかね?(笑)

──考えておきます!

ピットとのコール&レスポンスが面白い、応援シート。今年もASCII.jpはやります!

(次ページへ続く)

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