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ミクZ4、3年目の本気! SUPER GT激闘記 第1回

グッドスマイルカンパニー・安藝社長ロングインタビュー

右京、可夢偉、谷口がミクGTに続々参戦!

2011年02月06日 14時00分更新

文● 末岡大祐/ASCII.jp編集部

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グッドスマイルレーシングの立ち上げと
レースに参戦したキッカケ

──グッドスマイルレーシングを立ち上げるときには、最初からレースを意識していたんでしょうか?

安藝 全然ですね(笑)。もともとこんなミニカーを作るといいんじゃないかな、と立ち上げた会社なんで。われわれはずっとホビーをやってきて、そこで培った「こうするとみんなが喜ぶだろう」というノウハウを、他のジャンルのホビーに落とし込めるんじゃないか、という気の迷いですよね(笑)。クルマが好きだし、その好きという目線で作れば良いモノが作れるんじゃないかと。

GSRから発売中の「BMW Z4 M Coupe Racing 1/24 レジンキット」

──最初からモータースポーツ進出を考えていたわけではないんですね。

安藝 そうですね。それまでも、巻き込まれるようにモータースポーツのスポンサードはしていたんですよ。何年か前のラリージャパンとかね。あとは、草レースもやりましたね。そうして交友関係が広がっていく中で、「こういうことやりたいんだけど」とか「どっかスポンサーいない?」とか聞かれるんです。そこで「しょうがないなあ、じゃあウチがやるよ」と(笑)。こういう経験があったからこそ、GTでのスポンサードの話もすんなりいけたんだと思います。

──2008年にミクZ4がデビューするときは、まだメインスポンサーではありませんでしたね。

安藝 元々、クリプトンさんと話を繋ぐだけだったんです。ファンにとってもレース界にとっても面白いし、取り組みとして前向きだよね、とオススメしました。すると「安藝さん詳しいでしょ?」と逆に聞かれて。詳しいわけではないんですが「なんとなくわかるからフォローします」という感じでしたね、最初は。

──体制が固まるまでに苦労した点はありますか?

安藝 2008年のZ4のチームは、今となっては懐かしくもあり、恥ずかしくもあり(笑)。誰も何もわからない状態で手探りでレースをしてましたね。思い返すと苦労というよりも、よくやってたなあ~と(笑)。2009年からは片山エンジニアの参加や、クルマに改造費をかけたこともあって、安定感はなかったけど一発の速さが出せるようになりましたよね。

初参戦はお情けでグリッドに並べてもらうだけ、という屈辱のデビューになってしまった

 最初はコーナリングが良くて立ち上がりや最高速が弱いクルマだったのに、最高速を手に入れたら今度は曲がらないクルマになっちゃって。なかなかうまくいかないもんだなあと。でも、その頃から番場選手が参加してくれて、セッティング能力も彼はあったので、そのおかげでシリーズ後半はトントンと速くなっていきましたね。

番場選手の加入がターニングポイントになった

──やはり番場選手の加入が、チームのターニングポイントになったということでしょうか。

安藝 なったと思いますよ。確かに番場選手が入った鈴鹿700kmあたりからクルマが速くなってきてたし、それまでの大変な状態から、そこまで開発してくれた菊地選手や田ヶ原選手の貢献も大きいので、ある意味、番場選手は美味しいところを持っていきましたよね(笑)。それでも彼(番場選手)は速かったんですね。まさしく目が醒めるような速さでした。

 練習走行とはいえ、上位に食い込んでるということに衝撃を受けたんですよ。基本的に練習走行って、セッティングを出しているので、あまり順位を気にしてないんですけど、われわれはそんなの初めてでしたから。もうそれだけでピットでは狂喜乱舞ですよ(笑)。「今日行けるんじゃね?」みたいな。行けるわけないんですけど。予選が始まったら、予選を通ってないし。でも、そのおかげで練習走行が楽しかったんですけどね。他チームが淡々とこなしている中、僕らだけが盛り上がっているという。新しい風を持ち込んだと思いますよ。練習走行も楽しめるんだっていう(笑)。

番場選手が初めて参加した、2009年の鈴鹿サーキット「Pokka サマースペシャル」

──練習走行からワクワクさせてくれるチームなんて、GSRだけですね!(笑) さて、2年半レースをやってきて、ファンのみなさんの反応って当初から変わりました?

安藝 より濃くなってきていますね。レースファンの方々は最初から濃いんですけど、ミクから入って最初はレースを知らなかった人たちも、最近ではかなり深い情報を欲しがるようになってきましたね。「こういうことをリアルタイムで教えてもらうと、より面白い」というのを知ってきたので、前のクルマとのタイム差だとかタイヤ交換のタイミングだとかを聞かれますよね。われわれもそういうのは気にするので、ファンとチームが一緒に成長している感じがします。

シーズン途中で、デザインも性能も大幅にチェンジした2009年

毎戦変わる、両サイドのイラストも見どころだったミクZ4

──まさにファンと一緒に走るチームですね。2010年はBMWからポルシェにスイッチして、最初は賛否両論ありましたけど、最終的にはみんなで盛り上がっていましたもんね。

安藝 やっぱりレースで活躍すると楽しいじゃないですか。シングル(9位以上)の壁が高かったけど、順調にポイントを重ねてきて、予選では上位に食い込んだりね。より前の順位に行ければファンの満足度も高まるし、クルマへの思いはあるにしても、レースなので速いクルマはカッコイイわけです。ポルシェへの声援は日増しに大きくなっていきましたよね。

(次ページへ続く)

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