このページの本文へ

検索だけでもソーシャルだけでもダメ

キュレーションって何ですか? NAVER森川社長に聞く

2011年01月29日 09時00分更新

文● まつもとあつし

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

ブログのハードルを克服したい

── はてなや@niftyなど、ブログを核としてサービスを展開しているプレイヤーはほかにもあります。NAVERならではの強みはどこにあるのでしょうか?

森川 日本の場合特殊だと思うのですが、ユーザーがネット上に書き込むコンテンツの多くは、蓄積(ストック)を目的としたものでなく、流れていく(フロー)情報です。日記や思いつきを書きとめるというものです。

 ブログの難易度はやはり高いですね。ウェブページを中身があり、人に読ませる文章で埋めるというのはそれなりにハードルの高い作業です。livedoorブログには専門家による人気ブログもありますが、誰にでもできる「1億総クリエイター時代」というのはちょっと難しいと思っています。ブログは続けないと価値が出てこないんですよね。続けるためにはモチベーションが必要で、そのための仕組み作りを私たちは進めています。

モチベーションの維持には収益モデルの確立が必要と話す

 Wikipediaはすばらしいプロジェクトですが、あくまでボランティアによって支えられています。アフィリエイト系のブログは書き手に収益をもたらしますが、その品質は必ずしもよいものばかりではない、という現状があります。

 検索サービスとの連携という観点でいうと、まず「意味がある情報を作るための環境」が必要、そしてそのための「モチベーション(収益モデル)」も必要、さらに「簡単に」できなければならないと考えています。この3つを揃えることで、他社とは異なるサービスが構築できたと考えています。

まとめのインセンティブの仕組み:NAVER全体から生じた収益をアクセス数に応じて分配するモデルと、ユーザー自身が設定したアフィリエイトによるものの2通りが現状用意されている

 社会貢献だけでは人は動けない、という考えがが根底にあります。したがって、この図にあるように2つの収益モデルを組み合わせてユーザーへの収益の還元を図っています。ここが大きな特徴です。アフィリエイト報酬を得んがための記事ではなくて、ほかのユーザーにとって役に立つ情報をまとめてくださいというのが、メッセージですね。アフィリエイトとPVのどちらかに依存するのではなく、両方をバランスよく組み合わせてモチベーションとコンテンツのクオリティーを維持したいという狙いがあります。

 そしてクリエーションを活性化させるためには、キュレーションが重要だと考えています。今後はここに「評価モデル」も入れていく予定です。たとえば100万PVあっても、10人しか評価されていないコンテンツよりも、100人しかアクセスしていなくても、100人が評価しているものの方がより高いインセンティブが得られる仕組みを目指して、目下開発を進めているところです。

── 「評価経済」という言葉も確かに話題になっています。Facebookの「いいね!」ボタンのようなものとイメージしておけばよいのでしょうか?

森川 もちろん、そういったものも用意していきたいと思っていますが、それだけではダメだと思っています。まとめを積極的に評価したときにユーザーが「どういう行動」を取るのかを反映させるべきです。いまはNAVERまとめにアクセスしたユーザーがどういう行動をとっているかを解析させていただいて、その軸を出していこうとしている段階ですね。

 その上で、そのアルゴリズムをNAVER検索に反映されるところまで持って行こうとしています。良い記事・まとめを作り、それをほかのユーザーが高く評価した、という情報が、検索順位にも反映されるイメージです。コミュニティの中だけで、その評価情報が利用されるのではなく、あくまで検索と結びつくことが重要です。

カテゴリートップへ

アスキー・ビジネスセレクション

ASCII.jp ビジネスヘッドライン

ピックアップ