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Apple Geeks 第24回

「Mac App Store」公開後の影響を探る

2011年01月18日 12時00分更新

文● 海上忍

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 本連載「Apple Geeks」は、Apple製ハードウェア/ソフトウェア、またこれらの中核をなすOS X/iOSに関する解説を、余すことなくお贈りする連載です(連載目次はこちら)。

 UNIX使い向けを始め、Apple関連テクノロジー情報を知りつくしたいユーザーに役立つ情報を提供します。

 本稿掲載時点でオープンから10日あまりが経過した「Mac App Store」。気にしなければ単なるダウンロードセンターだが、その振る舞いと公開後の変化を調べてみると、今後のOS Xに大きな影響を及ぼすソフトウェアということが分かる。今回は、そのMac App Storeについて探ってみよう。

意図的だが効果的な「車輪の再発明」

 Mac App Storeは、いってみれば「意図的な車輪の再発明」だ。ソフトウェアのダウンロード販売は今に始まったことではなく、ビジネスとして成り立っているサイトは多数ある。自前のオンラインストアを持つソフトベンダーも少なくない。利用される販売プラットフォームも、基本的にはiTunes Store/App Storeの流用だ。詳細が明かされることはないだろうが、変更はインターフェースとしての「App Store.app」の追加と、アプリケーションのアップデート通知/配信システムを強化した程度なのではなかろうか。

Mac App Storeからダウンロードしたソフトは、有償/無償を問わずアップデートを含めて管理できる

 筆者があちこちで口にしていることだが、Mac App Storeが持つ最大の存在意義はその「エコシステム」にある。売上の3割という手数料は一見高めだが、パッケージ製品の場合の箱などの制作費と在庫負担を考えればむしろリーズナブルで、しかもAppleロゴのもと全世界のMacユーザーにリーチできるという集客力がある。広告宣伝費の効率化という点での効果も期待できるだろう。

 一方、ユーザーへの影響はかなり大きい。一元化というほどではないにせよ、いわば「Mac向けソフトのワンストップサービス」であり、アップデートを含め後々の面倒を見てくれる。これが有償/無償を問わず利用できるのだから、Mac App Storeの存在ありきで諸々の話が進むようになるのも時間の問題だろう。今夏リリース予定のLionが、その時代の幕開けとなるのかもしれない。

実際のところ、アプリケーションは売れているのか?

 Mac App Storeのアプリケーションは随時追加されているようで、オープンから約1週間が経過した1月14日現在、2308タイトルを数えることができる。オープン直後は数百タイトル程度の品揃えだったことからすると、今後しばらくは急速な件数の伸びが予想される。

Mac App Storeで公開中のアプリケーション数(1月14日現在)
カテゴリ名 本数 カテゴリ名 本数 カテゴリ名 本数
ビジネス 104 開発ツール 56 教育 139
エンター
テインメント
225 ファイナンス 32 ゲーム 566
グラフィック&デザイン 58 健康&
フィットネス
20 ライフスタイル 76
医学
(メディカル)
13 ミュージック 84 ニュース 8
写真 77 仕事効率化 321 参考書
(レファレンス)
42
ソーシャル
ネットワーク
39 スポーツ 21 旅行 29
ユーティリティ 343 ビデオ 48 天気 7

 しかし、この数には重複分が含まれている。例を挙げると、データ管理ツール「Evernote」は「ビジネス」カテゴリと「仕事効率化」カテゴリに、通貨換算ソフトの「iCurrency Plus」はビジネスと「ファイナンス」の2カテゴリに掲載されている。そのような重複分を差し引くと、実数は数割ほど減りそうだ。

 仮に初日の公開数が1000として、ダウンロード件数が100万超ということは、1本あたり平均1000ダウンロード/日を記録したということになる。オープン時は約500タイトルながら3日で1000万ダウンロードを記録した2008年7月オープンの(iOS向け)App Storeに比べると、ややおとなしめのスタートだが、高単価ながらも1日で100万ダウンロードを稼いだことは、開発者の期待に沿うものであるに違いない。

オープン直後、1月7日23時20分頃のカテゴリ別アプリケーション公開状況。空白のカテゴリが目立つものの、数時間後には埋まっていた

(次ページへ続く)

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