主力部隊が落下傘降下
対戦車ヘリAH-1Sによる攻撃が完了すると、いよいよ主力部隊の空挺団による降下が始まる。先に地上に降りた降下誘導小隊が降下地点へ輸送機C-130(ハーキュリーズ)を誘導し、「コースよし、コースよし、ヨーイ、ヨーイ、ヨーイ、降下、降下、降下」の掛け声と共に、戦闘降下員の降下が始まった。
降下時の速度は時速210km/hで、高度は340m。降下員は1秒間隔で機外へと身を投げ、約4秒後にパラシュートが開くようになっている。
隊員は、約25kgのパラシュートをはじめ、装備品が詰まった背嚢30~40kgに、銃火器などを合わせた65~80kgの装備を身につけて降下する。着地する際にそれらの装備をすべ身につけた状態だと、着地時の衝撃が地上2階から飛び降りたのと同じくらいあるため怪我をしてしまう。そのため地上約50mで背嚢を切り離し、着地時は足を曲げて横に体を転がすことで、衝撃を逃がしている。
隊員たちが地上に降り立つと、再び輸送ヘリUH-47が姿を見せて、地上に展開する部隊へ物資投下や、軽装甲機動車(ライトアーマー)、120mm迫撃砲RT、高機動車のヘリボーン輸送を行なった。
輸送された迫撃砲は、先に地上に降りている空挺特科大隊の隊員が即座に回収し、進行してくる敵に砲撃を加えるための迫撃砲陣を構築する。
迫撃砲陣を構築している特科大隊の上空に汎用ヘリUH-1が現れ、敵の進行を食い止めるために両サイドに取り付けられたフロートから対戦車地雷を地上に散布して、地雷原を作った。迫撃砲陣の構築が完了するころには、敵からの砲撃が始まったので、自衛隊も迫撃砲で応射した。
戦闘状態が続いていると、隊員が敵の銃撃を受けて負傷する事態が発生。すぐに、医療技術を持つ衛生兵が、負傷した隊員に応急処置を施すとともに、飛来したUH-1が負傷した隊員を後方へ搬送した。
その後も実践さながらの訓練が目の前で繰り広げられ、無事に敵勢力の撃破に成功した。最後にこの日の訓練に参加したすべての航空機、車両、隊員による一斉進行で、2011年の「第1空挺団 降下訓練始め」は終了した。