ThinkPadをさらに快適にする
Enhanced Experience 2.0
今後のThinkPadの方向性としてアピールされたのが、「Enhanced Experience 2.0」だ(関連記事)。これは、レノボがマイクロソフトと共同で開発したもので、ドライバーやBIOSなどの最適化により、起動時間を極限まで短縮する試みである。Enhanced Experience 2.0は2011年に出荷される一部の製品で導入され、ThinkPadだけでなくIdeaPadの一部でも採用される。
ベック「大和事業所のエンジニアとマイクロソフトのエンジニアが、ひとつひとつチューニングしています。特に、ここに持ってきた試作機は、エンジニアが手作業でチューニングしたものです。その結果、起動速度は劇的に速くなりました。製品もここまで速くなる、とまでは言えないのですが、これに近くなるよう努力します」
デモ機(SSD搭載のThinkPad Edge E420s)では、10秒以内でOSの起動が完了していた。ムービーを見ていただければ分かるが、なかなか劇的な効果といえる。
ThinkPad Edge E420sにEnhanced Experience 2.0を適用したモデルの起動デモ。電源断から再起動まで、10秒かかっていない点に注目。
★
今回のプライベートブースにはThinkPad新製品だけでなく、6000万台目に生産されたThinkPad(ちなみにEdgeシリーズだったようだ)と、大和事業所で使われているヒンジの経年劣化検査機が持ち込まれ、「信頼性と伝統」のアピールに使われていた。
今年もThinkPadは、地道ながら信頼できる、仕事に使える製品が出てきそうな気配だ。派手さは狙わず、この方向性をしっかり維持してもらいたい、と感じた。
筆者紹介─西田 宗千佳
1971年福井県生まれ。フリージャーナリスト。得意ジャンルは、パソコン・デジタルAV・家電、そしてネットワーク関連など「電気かデータが流れるもの全般」。主に取材記事と個人向け解説記事を担当。朝日新聞、読売新聞、アエラ、週刊東洋経済、月刊宝島、PCfan、YOMIURI PC、AVWatch、マイコミジャーナルなどに寄稿するほか、テレビ番組・雑誌などの監修も手がける。近著に、「美学vs.実利『チーム久夛良木』対任天堂の総力戦15年史」(講談社)、「クラウド・コンピューティング仕事術」「iPhone仕事術!」(朝日新聞出版)、「iPad vs.キンドル」(エンターブレイン)、「メイドインジャパンとiPad、どこが違う? 世界で勝てるデジタル家電」(朝日新聞出版)、「知らないとヤバイ! クラウドとプラットフォームでいま何が起きているのか?」(共著、徳間書店)。
この連載の記事
-
第116回
PC
「VAIO Duo 13」—革新は形だけじゃない! 変形ハイエンドモバイルに込めた思い -
第115回
PC
ソニーの本気—Haswell世代でVAIOはどう変わったか? -
第114回
PC
渾身の「dynabook KIRA V832」はどう生まれたのか? -
第113回
PC
HPの合体タブレット「ENVY x2」は、大容量プロモデルで真価を発揮! -
第112回
PC
ソニー“3度目の正直”、「Xperia Tablet Z」の完成度を探る -
第111回
PC
15インチでモバイル! 「LaVie X」の薄さに秘められた魅力 -
第110回
PC
フルHD版「XPS 13」はお買い得ウルトラブック!? -
第109回
デジタル
ThinkPad Tablet 2は「Windows 8タブレット」の決定打か? -
第108回
デジタル
今後のPCは?成長市場はどこ? レノボ2013年の戦略を聞く -
第107回
PC
Windows 8とiPadがもたらす変化 2012年のモバイルPC総集編 -
第106回
PC
Clover Trailの実力は? Windows 8版ARROWS Tabをチェック - この連載の一覧へ