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仮想化時代のアンチウイルス製品の姿とは?

仮想化環境にベストフィットするエフセキュアのVSPとは?

2011年01月06日 09時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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クラウドの基盤となるサーバー仮想化環境では、アンチウイルス製品の利用方法やライセンスもいままでとは異なる。これに対して、アンチウ イルス製品ベンダーのエフセキュアの新ライセンスでは、柔軟性と運用の容易さを提供する。

仮想サーバーが増えるたびにライセンスを購入?

 物理サーバーに複数の仮想サーバーを載せる仮想サーバー環境でも、セキュリティの脅威はいままでと変わらない。クラウドの裏側で金銭や情報を詐取しようとするウイルスを除去するため、アンチウイルス製品は必須といえる。

 仮想化ソフトの仕組みを用いて、ハイパーバイザー側でゲストOSを防御するアプローチもあるが、基本的には物理サーバーと同じくゲストOSごとにアンチウイルス製品を導入したいという要求が多く存在する。しかし、クラウドをサービスとして提供するプロバイダーからすると、ゲストOSごとにサービスを提供するアプローチは課金やライセンス管理が面倒になってしまう。これに対して、エフセキュアが提供するのがホスト/ゲストOSに依存しない「エフセキュア バーチャリゼーション サーバ パッケージ」(以下、VSP)である。

エフセキュアのテクノロジ&サービス部長 八木沼与志勝氏

 これまではシステム拡張のたびにゲストOSぶんのライセンスが必要だったが、VSPでは買い足しの必要がない。エフセキュアのテクノロジ&サービス部長 八木沼与志勝氏は、「オンデマンドなサーバーの追加や削除に対して、柔軟性を提供するのがVSPの狙いです。課金が物理サーバーのCPU数に依存するので、仮想サーバーが何台になってもかまいません、というものです。システムの拡張にあわせてフレキシブルに使っていただけます」と説明する。

既存のライセンスとVPS

次のステップはハイパーバイザーやデバイス

 対象となるのは、同社の「アンチウイルス Windowsサーバ」、「Linuxセキュリティフルエディション」、「Linuxセキュリティ コマンドラインエディション」の3製品。このうちLinux版に関しては、クラウド環境で利用されることの多いCentOS、Debian GNU/Linux、Ubuntuを含む幅広いディストリビューションに対応している。またフルエディションでは、リアルタイムスキャンはもちろん、ファイアウォールやファイルの変更検知の機能も持つ。「サービスプロバイダーやホスティング事業者が慣れているゲストOSへのインストールという方法を使いつつ、ライセンス管理のコストや手間を減らすことができます」とそのメリットを語る。価格は1〜4コアであれば、コアあたり9万8000円となり、コア数が増えるほど割安になる。

モバイルデバイスでのセキュリティも必要と語る八木沼氏

 エフセキュアが考える仮想化やクラウドへの対応は、これだけではない。次はハイパーバイザーやデスクトップ仮想化といった分野の製品も導入していく。そして、クラウドの端末であるデバイスやネットワークレベルのセキュリティも強化する。「たとえば、アップルのiOS上でのセキュリティ製品の作成には制限があります。ですから、おのずとデバイスではなく、外のネットワークで守る方策も必要になってきます」(八木沼氏)と、モバイルデバイスのセキュリティに関して、こう語る。

 このようにエフセキュアの仮想化・クラウド戦略は、技術や製品、ライセンスまで含めて多岐にわたっている。今後はよりクラウド時代にフィットした製品が出てくるとのことで、注目したいところだ。

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