3D描画も大幅にパワーアップ
カジュアル3Dゲームで十分な性能へ
内蔵GPUのパフォーマンステストは、DirectX10対応の「3D Mark Vantage」と「BioHazard 5 Benchmark」、そして「Unigine Heaven 2.1 Benchmark」で行なった。なお、内蔵GPUはDirectX 10.1対応のため、DirectX 11用の「3D Mark 11」は動作しなかった。
いずれのテストにおいても、Sandy Bridgeの内蔵GPUは従来(Core i7-655K)比2倍以上の数値になっている。この数値から推測すると、ちょうどRadeon HD 5450などのローエンドGPUに匹敵する性能といえるだろう。CPU本体のスペックが圧倒的に高いというアドバンテージを差し引いても、内蔵GPUとして高いポテンシャルを持っていると見て間違いないだろう。
エンコード時間が半分以下に? 想像以上の内蔵GPUエンコード機能
気になる内蔵GPUによるハードウェアエンコードの性能は、対応アプリであるCyberlinkの「Cyberlink Media Espresso 6」を用いている。エンコード素材はフルHD解像度で約4分のMPEG-2ビデオ(約450MB)で、iPhoneでの視聴用プリセット(320×180ドット)とフルHD13MbpsのMP4変換を行なった。Sandy BridgeとH67チップセットの組み合わせではハードウェアエンコードとハードウェアデコード(Intel Quick Sync Video機能)が利用できるので、この2つの設定のオンとオフの2パターンを計測した。Core i7-875Kは、Radeon HD 6850を接続しハードウェアデコード設定をオフにしている。
結論を言うと内蔵GPUのハードウェアエンコード機能はかなり強力だ。デコードと合わせてオンに設定すると、Core i7-2600Kでは再生時間の約1/4という驚異的な速さでエンコードが終了している。エンコードマシンとしてSandy BridgeとH67マザーを自作したくなるレベルで、今後動画作成ユーザーの台風の目になるのは間違いない。現在のところ内蔵GPUのハードウェアエンコードサポートを表明しているソフトウェアメーカーはCorel、ArkSoft、Cyberlinkだが、今後対応ソフトが増えてくればさらに面白い展開が期待できそうだ。
製造プロセス変更で消費電力も大幅ダウン
消費電力はワットチェッカーを用いて、Sandra 2011のマルチメディア演算テスト中の数値を計測した。新旧CPUでマザーボードが異なるため単純な比較はできないが、フルロードとアイドルの差がCore i7-2600Kで80Wと、同じ4コア8スレッドのCore i7-875Kの160Wから約半分に減っている。これまではHyperThreading搭載の4コアCPUと言うとかなり熱いCPUというイメージがあったが、Sandy Bridge世代ではそういったことはないと言えるレベルに収まっている。電源ユニットの負担も減り、かなりうれしい改良点である。
動作クロックも大きく上がり、
内蔵GPUによる付加価値が高まった
CPUの処理能力だけ見れば、基本性能はAVX命令とクロックアップによる着実なアップだが、内蔵GPUと消費電力削減はかなり劇的な性能変化と断言できるレベルだ。特に内蔵GPUは3D描画性能もさることながら、エンコード機能の圧倒的なパフォーマンスアップがとても魅力的に見える。もちろん、現時点では対応アプリが少ないが、これからの対応を見越してチョイスしたくなるほどだ。
ここで要注意なのが、内蔵GPUがオンになっていないとエンコード機能が使えないことだろう。今回のテストでは、内蔵GPUがオンでも別途ビデオカードを差している状態だと、ハードウェアエンコード機能が有効にならなかったため、外付けGPUによる高速3Dゲームと内蔵GPUエンコードの両立は難しいと思われる。こうした構成の難しさを除けば、ミドルレンジからハイミドルにかけての、優秀なパフォーマンスと消費電力を兼ね揃えたCPUと言える。
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