AMDは4日、CPUとGPUを統合した「Fusion APU」の第1弾となるモバイル向け新プロセッサー「AMD E」シリーズと「AMD C」シリーズ、および同CPUをベースにしたプラットフォーム「Brazos」を発表した。
発表されたCPUのラインナップは、両シリーズとも2製品ずつの計4製品。コード名で「Zacate」と呼ばれていたAMD Eシリーズは低価格ノートパソコン向け、同じくコード名「Ontario」で呼ばれていたAMD Cシリーズは、ネットブック向けに位置付けられている。主な仕様は以下のとおり。
シリーズ名 | 型番 | コア数 | 周波数 | TDP | 内蔵GPU |
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AMD E | E-350 | 2 | 1.6GHz | 18W | Radeon HD 6310 |
E-240 | 1 | 1.5GHz | |||
AMD C | C-50 | 2 | 1GHz | 9W | Radeon HD 6250 |
C-30 | 1 | 1.2GHz |
Fusion APUは、従来からあるx86 CPUにGPUやノースブリッジ部を統合した新プロセッサーである。低消費電力向けプロセッサー用として設計された、最新の「Bobcat」コアをCPUコアに採用し、これをデュアルまたはシングルコアで搭載する。このBobcatコアに加えて、GPU部となるSIMDエンジンやUVD3ビデオデコーダー、メモリーコントローラー、さらにメモリー以外の外部インターフェースをまとめたプラットフォームインターフェースを、ひとつのダイ上に集積している。製造プロセスは40nmプロセスを使用する(関連記事)。
GPU部分はDirectX 11対応で、AMD Eが「Radeon HD 6310」、AMD Cは「Radeon HD 6250」と呼ばれている。詳細は不明だが、独立GPUの「Radeon HD 5430」と同等で、80基のStream Processor(内部演算ユニットの最小単位)を備えるという。メモリーコントローラーはDDR3-800/1066に対応し、メモリーモジュールは2DIMMまで装着可能とされている。
プラットフォームインターフェース部には、HDMIやDisplay Port、アナログRGB出力などのディスプレー出力が備わっている。デジタル映像出力は2画面までの同時出力が可能(アナログRGBは1画面)。そのほかに、PCI Express x1×4などの外部インターフェースや、チップセット「M1 FCH」との接続インターフェース「UMI」(Unified Media Interface)もここに搭載される。
CPUと合わせてBrazosプラットフォームを構成するチップセットは、コード名「Hudson」と呼ばれていた「M1 FCH」(Fusion Controller Hub)を用いる。M1は、4×1のPCI Express Gen2インターフェースや最大14ポートのUSB 2.0、6ポートのSATA 3対応ポートなどを備える。なお、システムが独立GPUを搭載する場合、独立GPUはCPU側のPCI Expressに接続される。
パフォーマンスについては、AMD E-350とPentium P6000(1.86GHz、2コア)搭載マシンの性能比較で、HDビデオ再生で2.5倍、それ以外のテストでも+23~30%程度優れているとしている。
Brazosプラットフォームを採用したノートパソコンは、6日から開催される米国家電業界の展示会「International CES 2010」にて、各社から出展されるもようで、製品も発表されるだろう。