「ターン」が「トーン」になりませんか?
──アルバム制作を始めたのはいつぐらいですか?
ペンプロ:最初に僕がデモとかを作り始めたのは今年の春くらいです。リツカさんがCubaseを使って、ドラムとベースを打ち込んで作っていたデモテープを聴かせてもらって、そこからアレンジに入った感じです。最初はSkypeでコミュニケーションしながら作っていたんですが……。
リツカ:一番最初は、思っていたアレンジと全然違うのが返ってきたんです。「bluebird」って曲だったんですが、「何でこんなにテンポ速くなってるの!」って(笑)。
ペンプロ:今まで他人の曲をアレンジする経験がなかったので、気合いが入っちゃったんですよね。やっぱりアレンジャーとしては「原曲をどれだけ変えて意外性を出せるか」というところを見られていると。
だから淡々とした原曲を、アンダーワールドみたいな、シンセベースをブイブイいわせたプログレッシブハウス風にアレンジしたんです。そうしたら、3時間くらいかけてノリノリで歌った後に、「コレって違くないですか?」って(笑)。
あき:僕もSkypeで「これ、違くない?」って言われました。
リツカ:「四つ打ち」にきれいなメロディを乗せるっていうコンセプトがあったんですけど、それが伝わってなかったんです。
ペンプロ:お互い、共同作業の経験がなかったから「言わなくても伝わる」と思っていたという。僕もアレンジの定石を知っているので、確認を取らずに進めてしまった。よくよく聞いてみると、10ccの「I'm Not In Love」みたいな70年代プログレ風がやりたかったんですよね。
── リツカさんが好きなアーティストって誰ですか?
リツカ:一番好きなのはポール・マッカートニーなんですけど。洋楽ではペット・ショップ・ボーイズとか、後はドン・ヘンリーとか。邦楽は、小沢健二ひと筋って感じです。
ペンプロ:そのリツカさんのイメージを捉えるのが大変でした。例えば、「この『ターン』っていうのを『トーン』ってならないですか?」ってチャットで言われたりするんです(笑)。「そのターンってのはどれですか?」って話から始まって、「スネアですか?」って聞いたら「スネアってなんですか?」と言われるので、「スネアって言うのはドラムの中くらいの音です」と返す感じ。音楽用語や、何小節/何拍といった言葉が出てこない。
デモ音源に乗ってるボーカルはきれいに処理されてるので「EQはどういう設定ですか?」と聞くと「適当にやってみました」という感じで。とにかく、Skypeで話していては間に合わないと判断して、急遽、僕の製作スペースに来てもらって一緒に作ったんです。
あき:なぜか僕も来ているんですよね、その場所に。
── あきさんも音に関わっていたという?
あき:口出しはしてないんですけど、素人なりの客観的なポジションで見てました。リツカさんが「今の音パーンっていうの違和感ない、あきさん」とかそんな感じで聞かれるという(笑)。
リツカ:私の意見だけだと客観的じゃないと思って。貴重な存在でした。
── で、間に合ったんですよね?
ペンプロ:音は間に合いました。絵は絶賛製作中です。
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