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来年2月はスペイン・バルセロナに行くべし!!

2011年の携帯業界を占う3つのポイント

2010年12月22日 09時00分更新

文● 中西祥智/アスキー総合研究所

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“DATA TSUNAMI”を乗り切るにはケータイ以外の回線をどう使うか

電通大 中嶋教授

電気通信大学 人間コミュニケーション学科 中嶋信生教授

 これまで、無線のビットレートは年々増加してきた。携帯電話では、「アナログ回線が10年続いたのちにデジタル回線に移行し、約10年で3Gとなり、次の3.9G(LTE)や4Gも視野に入ってきた」(電通大 中嶋教授)。NTTドコモは、「Xi」(クロッシィ)という名称で、下り最大75MbpsのLTEサービスを12月24日から開始する。KDDIも2012年にはサービスを開始し、2014年までに設備投資を終えるという。だが、技術的な進歩は続いているものの、中嶋教授はこの先の伸びしろは小さくなってきたと見ている。

 海外では、すでに「DATA TSUNAMI」とも呼ばれる爆発的なトラフィックの増加の波が押し寄せており、「フラットレート(利用データ量に関わらず料金を定額とすること)をやめるという議論もある」(電通大 中嶋教授)状況になっている。一方日本では、固定回線のブロードバンドインフラがある程度普及しているからか、無線のトラフィック増を「体感し始めているのが今年」(KDDI 増田氏)という

 だが、会場からは「LTEになれば固定回線を解約する」という指摘があった。若年層では、部屋に固定電話や固定回線はなく、インターネット接続は携帯電話やWiMAXのみというのはすでに珍しくない。それが、LTEの普及によって、LTEさえあれば固定のブロードバンドは回線は不要という認識がさらに広まるかもしれない。しかし、KDDI 増田氏の語るように「ワイヤレスのボトルネックは周波数の帯域であり、世界中の人間のトラフィックをさばけるだけの帯域は、現実的には存在しない。LTEだけではさばけない」ため、何らかの方法で“オフロード”(ここでは、携帯電話の回線から、他の回線へトラフィックを移す意味)しなければならない。

総務省谷脇氏

総務省 情報通信国際戦略局 情報通信政策課長 谷脇康彦氏

 固定回線の利用にインセンティブを与えるなど、いくつかの解決案があるが、KDDI 増田氏は、免許取得はできなかったが、モバイルマルチメディア放送を使うことを考えていたという。無線通信関連の半導体ベンダーに勤務する会場参加者からも、「モバイルマルチメディア放送の帯域は、キャリアが爆発するDATA TSUNAMIをオフロードするために使うのが最も良い」という意見があった。

 その会場参加者は、複数の無線通信回線・複数のネットワークをまたがって行き来できる端末やサービスを考えることに意味があると語ったが、放送法の一部改正については、総務省 谷脇氏も「エニーデバイス、エニーネットワークという世界を作っていく」ことを目指すものだと言及した。

「FMC(Fixed Mobile Convergence:固定回線と携帯電話回線を組み合わせた通信サービス)という言葉がまだ出てきているが、単純に“光の道”という話ではなく、通信インフラをこれからどうするのか」(クロサカ氏)ということについて、DATA TSUNAMIが本格的に押し寄せてから「慌てて対処する状況にならにように、いまから考えておく必要がある」(電通大 中嶋教授)というのは、その通りなのだろう。

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