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最新パーツ性能チェック ― 第103回

新アーキテクチャのRadeon HD 6900シリーズの実力は?

2010年12月19日 02時00分更新

文● 宇野 貴教

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 AMDは12月15日にハイエンド向けGPU「Radeon HD 6970」と「Radeon HD 6950」を発表した。この2つのGPUは開発コードネーム「Cayman」と呼ばれていたもの。型番が示すように、10月22日にリリースされた「Radeon HD 6870」の上位に位置するRadeon HDシリーズの最上位と準最上位モデルとなる。今回はこの2つのGPUの概要とベンチマークを紹介していこう。

「AMD Radeon HD 6970」のリファレンスカード「AMD Radeon HD 6950」のリファレンスカード

効率を重視したアーキテクチャ変更

 これまでのRadeon HDシリーズは、4基の積和算ユニットと1基の積和算に加え、三角関数などの複雑な演算をサポートするユニット(AMDはこれを“T-unit”と表記している)の合計5基のSPで1つのThread Prosessorを形成してきた。このアーキテクチャは“VLIW5(Very Long Instruction Words 5)”と呼ばれ、Radeon HD 2000シリーズの頃から使われ続けてきたものだ。
 ところが、Radeon HD 69xxシリーズではこの5基を1つ減らして4基ベースとし、T-unitの機能をこの4基に担当させる“VLIW4”アーキテクチャになっている。つまり、VLIWアーキテクチャは、VLIW5の4/5のSPコア数で同等レベルの性能を実現しようとしているわけだ。実際、Radeon HD 6970のSP数は1536基で、前モデルであるRadeon HD 5870の1600基よりもわずかながら減っており、SP1基あたりのパフォーマンス効率が上がっていることが伺える。

Radeon HD 6900シリーズでは、ストリームプロセッサー数を1つ減らして4基とし、T-unitの機能をこの4基に担当させる“VLIW4”アーキテクチャになっている。少ないストリームプロセッサー数で、今までの「VLIW5アーキテクチャ」と同等の性能を実現している

 アーキテクチャ以外では、Radeon HD 6970はコアクロックが880MHz、メモリクロックが5.5GHz相当で、どちらもRadeon HD 5870の550MHz/4.8GHz相当から引き上げられており、これによるパフォーマンスアップも期待できる。
 一方のRadeon HD 6950は800MHz/5GHz相当と、Radeon HD 6970と比較すると抑え気味のスペックになっているので注意したい。

グラフィックエンジンを2つに分割。「Radeon HD 5800」シリーズに比べ、テッセレーションは約3倍に上がっているレンダーバックエンドもアップグレードされている。これにより16bitの整数演算が2倍に、32bitの浮動小数点演算が2~4倍に性能が向上している
各ビデオカードの比較表
  Radeon HD 6970 Radeon HD 6950 Radeon HD 6870 Radeon HD 6850 Radeon HD 5970 Radeon HD 5870
製造プロセス 40nm 40nm 40nm 40nm 40nm 40nm
シェーダバージョン 5.0 5.0 5.0 5.0 5.0 5.0
DirectX対応 11 11 11 11 11 11
コアクロック 880MHz 800MHz 900MHz 775MHz 725MHz 850MHz
SP数 1536 1408 1120 960 1600×2 1600
ROPユニット数 32 32 32 32 32×2 32
メモリ転送レート(相当) 5.5GHz 5GHz 4.2GHz 4GHz 4GHz 4.8GHz
メモリタイプ GDDR5 GDDR5 GDDR5 GDDR5 GDDR5 GDDR5
メモリインターフェイス 256bit 256bit 256bit 256bit 256bit 256bit
メモリサイズ 2GB 2GB 1GB 1GB 1GB×2 1GB
アイドル時省電力 20W 20W 19W 19W 42W 27W
最大消費電力 250W 200W 151W 127W 294W 188W
外部電源 6+8ピン 6ピン×2 6ピン×2 6ピン 6+8ピン 6ピン×2
実売価格 4万3000円前後 3万4000円前後 2万5000円前後 2万円前後 5万8000円前後 2万4000円前後
開発コードネーム「Cayman」と呼ばれていた「Radeon HD 6970」と「Radeon HD 6950」。さらにその上にはコードネーム「Antilles」が控えている。これはデュアルGPUを搭載した「Radeon HD 5970」の後継モデル「Radeon HD 6990」になるようだ

スムーズなパフォーマンス調整を行なう「Power Tune」

 Radeon HD 6900シリーズでは「Power Tune」と呼ばれる新機能が追加された。GPU内蔵のモニター機能と連携して、TDP内で最大限のパフォーマンスを出すためのものだ。これまでは動作クロックと電圧の組み合わせで数段階程度の制御であったが、超高負荷のゲームなどにおいてTDP枠を超える消費電力に達することがある。これが長時間続くと、結果としてGPUの熱が上がり過ぎて、保護機能により動画クロックが一気に下がる。こうした急激な性能変化(低下)を防ぐために、Power Tuneは動作クロックと電圧を細かく制御し、消費電力をTDP枠に抑えつつ最大のパフォーマンスをキープさせるわけだ。

GPU内蔵のモニタ機能と連携して、TDP内で最大限のパフォーマンスを出すための機能「Power Tune」を実装している

 これに加えて、「Catalyst Control Center」の「ATI OverDrive」には「Power Control Settings」という項目とスライドバーが追加されており、-20~+20%の範囲でTDPのしきい値をユーザーが指定できる。もちろん利用は自己責任になるが、冷却が十分なシステムであれば、これを活用することでパフォーマンスアップを狙うことができる。

「Catalyst Control Center」の「ATI OverDrive」には「Power Control Settings」という項目とスライドバーが追加された。これがその「ATI OverDrive」の設定画面。中央に「Power Control Settings」という項目が確認できる

カードサイズはかなり大型
6970と6950の見た目はほぼ同じ

 今回用意したRadeon HD 6970と6950は、両方ともリファレンスデザインのカードだが、外観の違いは6970が電源8+6ピン、6950が電源6+6ピンであることくらいで見た目はほとんど同じである。カード長は実測で約271mmと、ビデオカードの中ではかなり大きな部類だ。出力端子はDVI-Iが2つ、HDMIが1つ、Mini Display Portが2つと豊富で、1カードで最大6ディスプレー出力をサポートする。

Radeon HD 6970と6950の外観は同じで、カード長はどちらも実測で271mm出力端子は6970/6950共通で、DVI×2(DualLink DVI+SingleLink DVI)、HDMI×1、miniDisplayPort×2を備える
ビデオカードのサイズ比較。上からHD 5970、HD 6970、HD 6870こちらはHD 6950(上)とHD 6850の比較
「Radeon HD 6970」の外部電源コネクタは、6ピン+8ピン「Radeon HD 6950」の外部電源コネクタは、6ピン+6ピン

 ちょっとユニークなのはBIOS切り替えスイッチがあり、このスイッチで標準搭載BIOSとユーザーアップデート可能なBIOSを切り替えて使うことができる。もしBIOSアップデートに失敗しても、スイッチを標準BIOSに切り替えれば使用不可を回避できるわけだ。ビデオカードのBIOSはあまりアップデートするものではないが、こういった試みはチャレンジ精神旺盛なハイエンドユーザーにとってはありがたいだろう。

2つのBIOSを切り替えるスイッチを搭載している。スイッチ1はユーザー設定、スイッチ2は工場出荷時のBIOS設定だ

(次ページへ続く)

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