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データセンターのプールリソースを意のままに操る

デルのVISでリソースやサービスの管理は思いのまま!

2010年12月17日 06時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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12月16日、デルはデータセンター統合管理ソリューション「VIS(Virtual Integrated System(VIS)」を発表した。これは9月に米国で発表されたもので、IT効率化を実現するためのリソースやサービス管理などを実現する。

マルチベンダーに対応したソフトウェア製品

デル 執行役員 システムズ・ソリューションズ統括本部長 町田栄作氏

 都内で行なわれた製品説明会において、デル 執行役員 システムズ・ソリューションズ統括本部長 町田栄作氏は、4月に発表した「Efficient Enterprise」という同社のコンセプトを改めて強調。ITの標準化・自動化・シンプル化を実現するため「独自アーキテクチャを廃し、徹底的にオープンな環境で効率化を追求していく」と説明した。今回紹介されたVISは、2010年に買収した米スケーレントの製品をベースにしており、「プロセスや人を増やさないで、いかにシンプルにデータセンターを管理をしていくかを考えたデルとしては初めてのソフトウェア製品」(町田氏)と解説した。

システムズ・ソリューションズ統括本部 アドバンスド・ソリューション開発本部 ビジネスディベロップメント マネージャ 馬場健太郎氏

 次にシステムズ・ソリューションズ統括本部 アドバンスド・ソリューション開発本部 ビジネスディベロップメント マネージャ 馬場健太郎氏がVISの詳細について説明した。VISはリソース管理ツール「AIM(Advanced Infrastructure Manager)」、プロビジョニングポータル「Self-Service Creator」、サービス管理ツール「VIS Director」の大きく、3つのコンポーネントが用意されている。

シンプルなインフラ管理を実現するAIM、サービス管理を実現するVISデリバリ・センター

 このうちAIMはハイパーバイザー上にコンピュータリソースをプール化し、ユーザーに提供するためのプロビジョニングを可能にするソフトウェア。マルチOS、ハイパーバイザー、ハードウェアということで、幅広いシステムをサポートするほか、物理マシンと仮想マシン間のOSの再配置やワークロードの移動も実現する。また、ワークロードの負荷に応じてOSを再配置したり、N+1のHA構成を実現したり、サイト間で動的にディザスタリカバリを行なうことも可能になる。「より少ない操作で、多くのコンピュータに効率的に仕事を割り振ることができる。サーバー、ネットワーク、ストレージを統合し、ワークロードを最適化することが可能になる」(馬場氏)ということで、効率的なリソース管理を実現する。

再ケーブリングや再設定なしでシンプルなOSの再配置を実現する

サーバーやHA、OSなどのコストも大幅カット

 AIMではコスト削減効果も大きいという。たとえば複数のLinuxサーバーをHA(High Availabirity)で構成し、LANとSANで結んだ既存のシステムからAIM環境に移行する例を見ると、クラスタサーバーが不要となるので、まずサーバーの台数が減る。OSやHAソフトウェアも少数で済むほか、保守コスト、スペースや電力なども削減されるため、結果的にコストは約半分になるという。

 会場ではGUI環境からWebサーバーを追加したり、1台の仮想サーバーが落ちた場合に、ワークロードを物理サーバーを起動させるといったデモも行なわれた。

リソースをドラッグ&ドロップで配置できるAIMの管理ツール

 AIMはまずハードウェアや導入サービス、サポートと組み合わせたパッケージ「AIM BRS(Business Ready Solution)として提供される。ハードウェアにはブレードサーバーや10GbEスイッチ、イコールロジックのiSCSIストレージなどが含まれており、価格は990万円(税別)~となっている。また、AIMのソフトウェア単体は2011年4月に投入される。

 また、VIS Self-Service Creatorは、ユーザーのポータルから仮想マシンのリソースをリクエストし、承認などを経て、リソースのプロビジョニングを自動化する製品。複雑な仮想化クライアントの作成ワークフローを自動化し、スピーディーに展開することができる。さらにVIS Directorはプロビジョニング後のレポートや傾向分析、コスト管理などを実現する管理ツールになる。これらはAIMのソフトウェア版と合わせ、2011年の4月にリリースされる。

 用途としては、プライベートクラウドやデータセンターのクラウドインフラなどを想定。同じくプライベートクラウド統合パッケージである「PAN Manager」が、おもに基幹系システムでの提供を主眼に据えているのに対し、AIMはより低価格で、仮想と物理サーバーの統合案件などに向いているという。

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