太陽電池ゆえに照明の環境にも多少は注意が必要
K750は、特にドライバーソフトをインストールしなくても使える手軽さが利点である。しかしロジクールがウェブサイトで提供しているソフトウェア群を導入した方が、さらに使い勝手はよくなる。
特に重要なのが、同社のマウス・キーボード製品の設定ソフト「SetPoint」だ。SetPointを導入することにより、マウスやキーボードの細かい設定変更が可能になる。またK750の場合、古いバージョンのSetPointでは、[Fn]キーとファンクションキーのコンビネーション操作の設定変更に対応していないので、最新版(本稿執筆時点では6.20)を導入する必要がある。
ただし、元々多機能を売りとした製品ではないので、SetPoint 6.20を導入しても、変更できる機能は多くない。変更できるのはファンクションキーのうち、F1~F5とF12の6キーのみである。その代わり、割り当てられる機能は豊富で、アプリケーションの起動や操作、任意のキー操作などを設定できる。
SetPointはロジクール製品共通のソフトだが、K750特有のソフトが「Solar App」だ。キーボード上の光量ボタンを押すだけで起動して、現在の光量や内蔵充電池の残量を確認できるツールである。照明の明るい編集部で試したところ、太陽電池に入る光量はおおむね480ルクス程度で、キーボードの使用にはまったく問題ないレベルだった。
ところが、K750を筆者の自宅で使ってみると、パソコンデスクに置いた状態では平均して120~150ルクス程度の光量しかなかった。これは運用上不足するほどではないが、余裕があるとは言い難い程度だ。部屋の照明自体は普通の環形蛍光灯を使う照明器具で、40形と32形の2本を併用する一般的なものだ。ただし、電球色タイプの蛍光灯を使っている点がやや特殊だろうか。照明とキーボードの距離は1.7mほどだが、少し近づけるだけで光量は230ルクス前後まで大幅に増加した。
オフィスはもちろん、一般的な日本の照明環境なら、K750を使うのに光量が不足するということは少ないだろう。しかし、暗めの照明環境でK750を使う場合は、Solar Appを使って定期的に光量や電池残量を確認して、例えば未使用時は明かりや外光の差し込む所に置くなどして、十分充電しておくといった配慮も必要になるかもしれない。
★
以前の記事で同社のトラックボール「Wireless Trackball M570」をレビューした際に、「Unifying対応キーボードのバリエーション拡大に期待したい」と書いた。米国でK750が発表されたのはそれからまもなくで、まさに待望する製品の登場だ。
試用機が来てから毎日使っているが、以前使っていたマイクロソフトの大型ワイヤレスキーボードに比べてコンパクトで軽いので、取り扱いが格段に楽になった。また同時にトラックボールもM570に替えたので、トラックボールのUSBケーブルもなくなり、机の上がすっきりした。UnifyingレシーバーひとつでK750とM570を使えるため、有線トラックボールとワイヤレスキーボードのレシーバーをつなげていたUSBハブも撤去できた。
メカニカルキーのタッチや、多機能/多数キー同時押し対応のゲーミングキーボードを求める人には、K750は向かない面がある。しかし、そこまでこだわらない大抵の人には、ワイヤレス式の弱点である電池の問題を解決したK750は、お薦めできるワイヤレスキーボードである。特にUnifying対応のマウスと組み合わせるのがいい。
願わくば、K750の太陽電池充電技術は、より多くのキーボード製品にも応用してもらいたいものだ。ワイヤレスキーボード普及の鍵となる技術であろう。
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