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ストレージ業界に旋風!ネットワールドがSvSANを国内投入

仮想化で外部ストレージを不要にするSvSANのインパクト

2010年12月02日 09時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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12月1日、ネットワールドは英ストアマジック社の仮想ストレージソフトウェア「SvSAN v4.4」の国内販売を発表した。高価な外部共有ストレージを使わずに、x86サーバーの冗長構成でvMotionも利用できる仮想化システムの新しい選択肢となる。

外部ストレージを利用するより20%コスト削減

 SvSAN(StorMagic virtual SAN)は、英ストアマジックのストレージ仮想化ソフトウェア。VMware vSphereサーバーのローカルディスクの空き容量をiSCSIの共有ストレージとして利用可能にする仮想アプライアンス。先日VMwareの厳しいSVA(Storage Virtual Applicanve)認定を通過しており、外付けのSANやNASを用いなくても、x86サーバー上にVMwareの共有データストアを構築できる。

ネットワールド 代表取締役社長の森田晶一氏

 ストアマジックは2006年に創業したITベンダーで、2009年にSvSANを市場に投入。2010年には日本オフィスを開設し、このたびネットワールドとの代理店契約を結ぶに至ったという。ネットワールド 代表取締役社長の森田晶一氏は、「今まで導入の障壁だった共有ストレージがいらないので、導入の敷居は大幅に下がる。これで中小企業の方々にも仮想化の恩恵を与えられる」と、SvSAN投入の意義を強調した。

英ストアマジックCEOのハンス・オサリバン氏

仮想化におけるストレージの問題を解決する

 英ストアマジックCEOのハンス・オサリバン氏も、同じくストレージが仮想化のボトルネックになっている現状を説明。「仮想化にかかる費用が100円なのに対して、ストレージ費用は300円かかる。HDDは低価格で、容易に購入できるにも関わらずだ」(オサリバン氏)ということで、x86サーバーのストレージをVMwareの共有ストレージとして扱うSvSANを開発したという。「SvSAN+増設ディスクの構成をとれば、外部ストレージに比べてコストを最低でも20%削減できる」(オサリバン氏)としており、オペレーションやHAなどのコストを考えれば、仮想化環境全体では50%のコスト削減が実現する。管理に関してもvCenter用のプラグインが用意されており、VMwareと統合された管理が行なえるという。

管理はVMware vCenterと統合されている

2台の冗長構成でvMotionが使える

 推奨構成は2台のVMware vSphereサーバー、1台のvCenterサーバーになっている。2台のVMwareサーバーであれば、HA構成をとることが可能で、仮想サーバーのフェイルオーバー機能であるvMotionも利用できる。VMware vSphere 4.1ではライセンス変更により、(エントリ向けの)Essencial PlusやStandardでもvMotionを使えるようになったため、SvSANとx86サーバーを組み合わせ、低価格な仮想化ソリューションとして提供するという。また、高速なSSDと大容量なHDDを用いた階層化ストレージのなどの構成も提案していく予定。

2台のVMwareサーバーとvCenterサーバーの3台の構成を推奨する。

 価格はデータストアの実行容量でライセンスが発生し、2TBのソフトウェアライセンスが24万9800円(2011年3月31日までのキャンペーン価格)となる。で、別途8万円の保守サポートが用意される。

 NetAppやEMCなどSvSANが排除する外部ストレージ製品も積極的に取り扱っているネットワールドだが、「2台や3台くらいの仮想化サーバーを扱っている中小企業で、NetAppやEMCを導入するのは、まだまだ時間がかかると考えている。だから中小企業向けのSvSANとは完全に切り分けられる」(森田氏)と、あくまでSvSANが低廉な選択肢であることを強調した。とはいえ、今まで外部ストレージが当たり前のように使われてきたサーバー仮想化の分野で、こうした製品が登場するのはなかなかインパクトのある話といえる。また、森田氏は「敵に塩を送る」として、時に競合にもなるサーバーベンダーに対しても、SvSANを供給する予定だという。同社のアグレッシブな戦略が中小企業向けの仮想化市場に風穴を開けるか、注目したいところだ。

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