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「Jコミ」は電子書籍市場の起爆剤となるか

「ラブひな」赤松健さん、無料漫画サイト経営にかける「夢」

2010年12月02日 12時00分更新

文● まつもとあつし

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日本の出版業界と
世界平和のために頑張ります

―― いま流通している作品だと、そこまで思い切った展開は難しい事情がありますが、絶版にターゲットを絞ったからこそ可能になった取り組みではありますね。最後に、これから1ヵ月間のトライアルとなりますが、意気込みや、ほかのマンガ家さん、読者の方へのメッセージをお願いします。

赤松 クリック数が少なかったら退散します!(笑) でもどうやら多そうなんです。強調したいのは、読者・作者・企業の「WIN-WIN-WIN」(トリプルWIN)を目指す努力をしていくということですね。誰も損をしないし、みんな得をする世界を実現したい。

 読者の方からは、「無料なのに思っていたよりも広告が少なくて読みやすい」という反応を頂いています。そうやって喜んで頂いて、どんどんダウンロードしてもらって、バンバンクリックしてもらうと。

 広告主は、クリックによって自社の広告をたくさん見てもらうことができる。それは嬉しいことですよね。で、そのお金は作者にどんどんお支払いする。

 出版社は既存のビジネスを脅かされないし、むしろ絶版に再び光を当てることで、再出版のチャンスも生まれてくると。


―― すばらしい計画ですね。

赤松 Jコミの究極の目標は、日本に存在している絶版のマンガ――僕はそれらは文化遺産だと考えているんですが――それを全部収集したいということです。

 出版不況の中、多くのマンガ家さんはけっこう貧乏な環境でがんばっていたりします。その状況を変えたいですね。マンガを読んで育った多くの子供達が、将来の夢にマンガ家を挙げるようになる。そうなると良いなと。

 「コンテンツパワー」という言葉もよく聞きますけど、ハリウッド映画みたいな戦争アクションじゃなくて、「ツンデレ」とか「萌え」みたいなものが世界に広がっていけば、世界が平和になるんじゃないですか?(笑) 世界平和のためにも頑張りますよ!

「世界平和のためにも頑張りますよ!」



著者紹介――まつもとあつし

 ネットベンチャー、出版社、広告代理店などを経て、現在は東京大学大学院情報学環に在籍。ネットコミュニティやデジタルコンテンツのビジネス展開を研究しながら、IT方面の取材・コラム執筆、映像コンテンツのプロデュース活動を行なっている。DCM修士。12月10日にはアスキー新書より「生き残るメディア 死ぬメディア 出版・映像ビジネスのゆくえ」が発売。公式サイト 松本淳PM事務所[ampm]

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