広告クリックはどこまで収益になるか
―― なるほど、ニーズを満たす、という意味では死角はなさそうですね。しかし、ネット上の反応にもありましたが、果たして「広告クリック」で収益化って可能なんでしょうか?
赤松 実は僕自身がスーツにネクタイしめて、いくつかの広告代理店さんに企画を持ち込んだんです(笑)。「赤松です、電子出版の話です」と切り出すと、すごく身を乗り出して話を聞いてくれました。で、すぐさま広告主向けの価格メニューを作ってくれて。
詳細な価格は出せませんが、一般的な週刊誌に比べると破格の値段になっています。でも、それを足していくと、70~80万円くらいの金額にはなります。
それが今日の状況で考えると、すぐに数千クリック行きそうな勢いです。よくある「クリック保証」の仕組みですから、規定回数クリックされたら、もう次の広告に差し替えてオーケー。理論上は次のバナー、次のバナー、という感じで進むことができます。
もちろん、同じ人が連続してクリックしたものは換算しません。でも、このクリック数って「マンガ家を応援しよう」っていう善意を感じないでもないので、数字を見ていると嬉しくなってきますよね。今は病気をされたりして、描きたくても描けないマンガ家さんもいらっしゃいます。そういう人の支援にも、今後はなれるはずです。
巻末にはAmazonの関連商品へのアフィリエイトも用意しています。この売り上げも作者さんにお渡しします。
―― もちろん初動ということもあるでしょうが、クリック数は目を見張る勢いですよね。あとは予想していたよりも大手の広告主が出稿していることに驚かされました。
赤松 最初だし、「ラブひな」だから、というのは正直あると思います。この後の動きは慎重に見ていかなければなりません。でも、面白いことになってきたなという手応えはありますね。
―― これだけダウンロード数があるのであれば、インプレッション課金(Google AdWordsのように広告の表示回数に応じて広告主に課金する)の選択肢はないでしょうか?
赤松 インプレッションでも良いかなと感じ始めています。実は現状のKindleや一部のiPhone/iPadアプリだとPDFの広告をクリックしてもリンクが機能しないことが分かってきた、というのもありますし。
あと、マッチングをやりたいんですよね。クルマのマンガには、やっぱりクルマの広告を入れたいじゃないですか。でも、現状は手動じゃないとなかなか難しいんです。実際に実験もしてみたんですが、マンガのセリフをOCRで読み込んで、キーワードを抽出して広告とマッチングさせる、というのがまだ難しかった。Googleが特許を持っているテキスト文書からのマッチングだとうまくいきそうなんですけどね………。
いずれにしても、(マンガと合わせた)広告料金・課金方法など、まだ前例のない取り組みなので、技術担当や代理店さんと試行錯誤しながら、うまく形にしていきたいなと思っています。