既報のとおり、シャープは29日、電子書籍端末「GALAPAGOS」(ガラパゴス)を12月10日に発売すると発表した。同日、秋葉原UDXギャラリーで開催された体験会では芥川賞作家の平野啓一郎氏が登壇し、GALAPAGOSの発売と同時に、書籍と電子書籍で刊行される新刊と、電子書籍についての思いを語った。
ここでは実機の写真と、平野氏のトークセッションでの電子書籍に関する話題についてレポートする。
「丸の内」はビジネス書、「白金」は女性誌
カテゴリを「スクエア」で分類
GALAPAGOS用の電子ブックストアサービス「TSUTAYA GALAPAGOS」は、ユーザーに対する書籍の提示の仕方を、書店の「常設エリア」と「特設エリア」のコンセプトを元に構成している。
特設エリアは書店で言うところの「平台」にあたり、新刊や話題のキーワードの書籍が並ぶ特集エリアである。一方の常設エリアは、「スクエア」と「ストリート」で構成される。スクエアは書店で言う「島」(ジャンルでまとめた書棚)にあたる。ストアサービスではこのスクエアに、「丸の内のスクエア」「白金のスクエア」「神田のスクエア」といった具合に、都内の地名を付けている。
現実でもビジネス街である「丸の内」はビジネス書・雑誌、高級住宅街の「白金」は女性誌やファッション誌、インテリア誌、古書店街で名高い「神田」は文芸書といった具合に、地名からイメージされるカテゴリーで書籍・雑誌を分類して提示するわけだ。
ストリートは書棚と書棚の間の通りをイメージした概念で、スクエアに関連する類似書籍を集めたエリアになるという。スクエアのカテゴリーからは外れるが、そのカテゴリーから連想されるキーワードを基に、お薦めの書籍を提示する。
雑誌で役立つ「文章だけ拡大」表示機能
使えるかどうかはコンテンツの作り次第
GALAPAGOSの表示機能で非常に便利なのが、「文章部分だけを拡大」する機能だ。雑誌の場合、誌面は本文に加えて写真や図版が組み合わさって構成されている。GALAPAGOSではもちろん誌面をそのままのイメージで表示したり、指操作でのピンチイン/アウトで拡大/縮小表示できるが、本文を目で追いたい場合は必ずしも読みやすいとは言えない。
文章部分だけの拡大は、こうしたコンテンツから文章部分だけを取り出して表示する機能だ。上掲の写真右のように、本文や見出しだけを表示できるので、記事を集中して読みたいときに役立つ。画面サイズの小さいモバイルモデル(5.5型)では、特に役立ちそうな機能だ。
ただし、GALAPAGOS向けの書籍・雑誌のすべてで「文章だけ拡大」が使えるわけではない。あくまでもコンテンツのオーサリング次第であり、例えば雑誌でも誌面全体の拡大/縮小表示しかできない場合もあり得る。