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週刊 PC&周辺機器レビュー 第82回

エンタメ志向の新次元ノート 復活のXPS 15を試す

2010年11月26日 12時00分更新

文● 池田圭一

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ノート用スピーカーの常識を凌駕!
伊達ではなかったJBLのロゴ

 キーボードや記事冒頭の写真でわかるように、キーボード左右に目立つように配されたステレオスピーカーについても記しておきたい。XPS 15ではオーディオ再生能力がかなり強化され、4W出力×2のステレオスピーカーに加えて、12Wのサブウーファーを底面に配している。

底面に「JBL」ロゴ付きのサブウーファーを搭載

底面に「JBL」ロゴ付きのサブウーファーを搭載。9セルバッテリーにより底部に隙間ができて卓上との間で音が反響するのか、しっかりとした中低音を響かせる

 さまざまな楽曲を再生してみたが、さすがはJBLロゴの面目躍如といったところだろうか。音量を上げても芯のあるしっかりとした音が鳴っており、ノートパソコンとは思えない重厚なサウンドを愉しめた。ノートを操作する姿勢のときだけでなく、離れたところで聞いても十分に迫力があった。

Waves MaxxAudio

タッチボタンの右を押すと、サウンド設定の「Waves MaxxAudio」が開く。4種類のプリセット値が用意されている

ユーザーの聴取環境にあった音づくりが可能

個々のパラメーターを細かく調節して、ユーザーの聴取環境にあった音づくりが可能

 普通に大音量で聞いていても優秀だが、音を絞って聞くときなどは、付属ソフトの「Waves MaxxAudio」を活用したい。サラウンド効果の追加や高低音のブーストにより、小音量時にもメリハリのあるサウンドを再現するというソフトだ。音声イベントがないときにはオーディオデバイスをオフにするなど、省エネ機能まで有している。

グラフィックイコライザ

グラフィックイコライザで、音質をさらに細かく調整できる

オーディオデバイスの電源管理

バッテリー残量に応じて省電力(オーディオデバイスの電源管理)設定が可能

 なお、試作機であるためバッテリー駆動時間のテストはできなかったのだが、9セルバッテリーのフル容量は8400mWhであった。動画再生やCG描画などGeForce GT 435Mを酷使するような使い方をしていると、CPU負荷が10%程度にもかかわらず消費電力量が著しく高くなり、一時的に5500mW前後を示した。このときのバッテリー残量予測は2時間30分前後だった。一方、何も作業をせずにバックライトの明るさをいちばん暗くしたときの消費電力量は1200mW前後に下がり、バッテリー残量予測値は5時間を越えていた。

 9セルバッテリー装着時は本体質量が約3kgとなるため、積極的に持ち運ぶものではない。バッテリーでXPS 15を運用することは少ないと思うが、その日の気分に応じてリビングや寝室など、ちょっとした移動の際に、巨大なACアダプターを持ち運ばずに済むのはありがたい。


 ちょうどCPUやメモリー、チップセットなどの構成が等しかったため、連載79回で紹介したASUSTeKの「NX90Jq」と比較してみたい。まずNX90Jqは、18.4型ワイドディスプレーを搭載した「革新的」なデザインの超大型ノート。一方でXPS 15は、デザインは一般的な大型ノートという違いがある。

 だが、どちらも「フルHD表示・高品位オーディオ」と目指すところは近く、処理性能にも大きな違いはない。エクスペリエンスインデックスもPCMark Vantageのスコアも、細部に目をやればXPS 15のほうが若干ながら高い値となっているが、ほぼ似たような結果と言えるだろう。

 しかし、実態には明確な差異がある。XPS 15はスタンダードなデザインの中にも利用者のことを考えた上品さがあり、キーボードなどの使いやすさも良好だ。有名ブランドであるICEpower対JBLの構図となったオーディオ面の比較でも、明らかにXPS 15の方が優れている。

 NX90Jqの価格が21万円前後ということを考えると、見た目よりも「実」をとったXPS 15の12~13万円の価格設定が、いかに魅力的かわかるというものだ。

XPS 15(評価機)の主な仕様
CPU Core i7-740QM(1.73GHz)
メモリー 4GB
グラフィックス GeForce GT 435M
ディスプレー 15.6型ワイド、1920×1080ドット
ストレージ HDD 640GB
光学ドライブ BDコンボドライブ
無線通信機能 IEEE 802.11a/b/g/n
インターフェース USB 3.0×2、USB 2.0/eSATA×1、Mini DisplayPort出力、HDMI出力、ヘッドホン/デジタルオーディオ(SPDIF)出力など
サイズ 幅381×奥行き265.4×高さ32.2~45mm
質量 約2.96kg
バッテリー駆動時間 約2.8時間
OS Windows 7 Home Premium 64bit版
価格 12万6780円

筆者紹介─池田圭一

月刊アスキー、Super ASCIIの編集を経てフリーの編集・ライターに。パソコン・ネットワーク・デジタルカメラなど雑誌・Web媒体への企画提供・執筆を行なう一方、天文や生物など科学分野の取材記事も手がける。理科好き大人向け雑誌「RikaTan」編集委員。デジイチ散歩で空と月と猫を撮る日常。近著は「失敗の科学」(技術評論社)、「光る生き物」(技術評論社)、「これだけは知っておきたい生きるための科学常識」(東京書籍)、「科学実験キット&グッズ大研究」(東京書籍)、「やっぱり安心水道水」(水道産業新聞社)など。


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