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【所長コラム】「0(ゼロ)グラム」へようこそ

やっぱりGoogle TVなんていらないよ(いまのうちは)

2010年11月26日 06時00分更新

文● 遠藤諭/アスキー総合研究所

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Android≒IBM PC?

 米国よりも1年遅れて2008年に「iPhone」が投入された日本だが、いまスマートフォンがめちゃめちゃ売れている。

 今年の春の『IT&家電ワールド』誌には、ある量販店では、携帯電話端末の売上げに占めるスマートフォンの比率が台数ベースで30%、金額ベースで40%になったという記事があった。調査会社GfK Japanによると、2010年9月に携帯電話市場に占めるスマートフォンの割合は16%。家電量販店の販売比率では25%、携帯電話専門店では13.5%を占めたという。また、4~6月期には、「Android」がスマートフォンの40%を占めている。そして、スマートフォンの売れ行きが牽引力となって、携帯電話端末全体の販売数も3年ぶりに対前年比プラス傾向に転じている。

 このペースが続くとすると、国内の年間携帯電話出荷台数が3500万台として、560万台ほどがスマートフォンということになる。ここから、iPhoneの国内年間出荷台数は300万台程度になってくるとも推定できそうだ。ソフトバンクのシェアが20%以下だとすると、この商品が同社にとっていかに重要かが分かる。

 あまり売れていない印象のあったAndroidも、「Xperia」以降は売れている。前回触れた「北米では、Androidの販売数がiPhoneを超えた」というような状況ではまだないが、年末にかけては、各社からAndroid端末が多数登場する(関連記事1関連記事2関連記事3)。2011年には、米国から1年遅れで、Androidの販売台数がiPhoneを抜く可能性は十分にある。

 ところで、Androidに積極的に取り組んでいるメーカー名を書き出してみると一定の法則のようなものが見える。

  • HTC
  • サムスン
  • LG
  • Sony Ericsson
  • Motorola
  • DELL
  • Acer

 この新しいプラットフォームをフックに、躍進しようとしている会社。かつて世界市場の覇権を握っていたが、ノキアにすっかりやられてしまった会社。そして、大きなハードウェアメーカーだが携帯やスマートフォンには乗り遅れた会社などだ(失礼な言い方、申し訳ない)。

 そして、1年以上遅れてではあるが、日本の端末メーカーからもAndroid端末が出てきている。ガラパゴスといわれる状況を抜け出すための方法としては、正しい選択のひとつなのだろう。

 メールとウェブと簡単なアプリを使うだけなら、たぶんiPhoneのほうが分かりやすい。もちろん、Androidも「iPhoneのようなもの」と思われているのとは別の魅力を持っている(ブラウザー感覚でアプリが戻れること、インテントによる共有、待ち時間を減らすマルチタスクなど)。しかし、Androidの本質的な価値は、いろいろな意味での「自由度」にほかならない。

Androidは
「IBM PC」となるか?

 しばしば、iPhoneとAndroidの関係は、25年前のMac(当時はMacintosh)とIBM PCの関係にたとえられる。Macが、基本的にアップル1社からしか発売されなかったのに対して、IBM PCは、同じ仕様のマシンが各社から出た(クローンや互換機)。その結果、IBM PC(互換機)が、そしてWindowsが市場を埋め尽くすことになった。

 しかし、この「たとえ」は半分くらいは当たっているけれど、半分は外れていると思う。それは、ハード/ソフト、コンピュータ(スマートフォン)/非コンピュータ、という四象限図を書いてみれば明らかなことである。Mac、IBM PC、iPhoneは、コンピュータのハードウェア、Mac OS、Windows、iOSはコンピュータのソフトウェアで、Androidだけが、コンピュータと非コンピュータのソフトウェアである。

四象限図

 いつの間にか、Androidを搭載したデバイスが身の回りに増えているという人も少なくないと思う。カワイイもの好きの女の子の部屋に、いつの間にかぬいぐるみが増えていくような調子で、Android端末は静かに増殖していくものなのだ。

 こうしてこの文章を書いている間にも、ソニーが、Internet TVだけでなく、ほかの情報家電にもAndroid搭載を進めていくというニュースが伝わってきている。ソニーだけではない。ニコンがAndroidを搭載するフォトフレームを作っているというニュースもある。

 実は、家電AV機器でもOSが重要だと早くから動いたメーカーのひとつが、ソニーだった。1990年代に、自社製の「APERIOS」というOSを開発。「AIBO」にも搭載された。私のやっていた『月刊アスキー』では、AIBOの頭をなでたり手を取ったりして四則演算する「電卓AIBO」のようなソフトを作って誌面に載せたが、要するにコンピュータなのだ。

 そして現在、ソニーはこうした自社製OSの開発をやめて、LinuxをレコーダーやデジタルカメラのOSとして採用している。理由は、コスト減もさることながら、その開発スピードだ。なにしろ、世界中のエンジニアが協力し合って、さまざまな形でコンピュータのトレンドに関わっているからだ。オープンソースの「数の原理」である。

 しかし、特に大小さまざまな機器に搭載されるAndroidにおいては、数の原理よりも、もう一歩先のフィールドに進む可能性があると思う。

 (次ページに続く)

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