来てくれたら、話しかけてね
そんな素敵な「痛前」っぷりを発揮する大将に、ファンが付かないわけがない。今では業界に大将の名前が知れ渡り、関係者がこぞって訪れることもあるという。そのときにいかんなく発揮されるのが、今まで見てきた「濃いバナ」だ。
「飲食業はしゃべる職業ですからね。商店街の景気だけでなく、『オールジャンル』話せなければいけないですから」
学生時代から人とおしゃべりするのが好きで、バイトも寿司屋と喫茶店。その話しぶりはやはりベテランのなせるワザ、「引くところではちゃんと引く、分かる人にだけ濃く語りかける」が徹底されていると感じた。この距離感も愛される理由だろう。
「萌え系とかを前面に押し出すことは、なるべくしたくないです。分かる人だけ分かってくれればいいという。ただ年末、企画が通れば、『大閃光』付きの忘年会プランを提案するかもしれませんが」
そんな大将の悩みは、せっかくお店にきたのに、ファンが自分に話しかけてくれないということだそうだ。
「ケータイにアニメや声優さんのストラップを付けていたりとか、明らかにウェブラジオとかを聞いてきてくれた人もいるんですけど、話しかけてくれないんです。僕の方から『ラジオ聞いてきたの?』とか言い出すのって、いやらしいじゃないですか」
――というわけなので、この記事を読んでお店に足を運んだ方は、ぜひ「大将(痛前)ですか?」と声をかけてみていただきたい。サイリウムばりに輝いた笑顔の中古大将が、あなたを迎えてくれることだろう。