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賞金付きオープンソース”Kinect”ドライバ開発コンテスト!

2010年11月10日 12時00分更新

文● 鈴木淳也(Junya Suzuki)

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 「Kinect」というデバイスをご存じだろうか? かつて「Project Natal」の開発コード名で呼ばれ、人物の動きや音声をキャッチしてコントローラの代わりとするモーションセンサーデバイスだ(関連記事1関連記事2)。正式名称は「Kinect for Xbox 360」で、その名の通りMicrosoftのゲーム機である「Xbox 360」専用デバイスとして販売されている。

 このXbox 360専用デバイスを”ハック”してオープンソースドライバを作成し、他のPCやデバイス上で対応アプリケーションを作成/活用してしまおうというプロジェクトが進行している。

2010年6月開催のE3プレスイベントで正式発表された「Kinect for Xbox 360」

 マサチューセッツ工科大学(MIT)のメンバーらによって設立された米Adafruit Industriesは11月4日(現地時間)、「Open Kinect Project」立ち上げを発表し、賞金1000ドルのハッキングコンテストを開始した。11月4日は、全米でKinectの販売が開始された日でもある。この150ドルの最新ガジェットを思いのままに最初にコントロールできるのは誰か、コンテストを巡る最新事情を時系列で追っていこう。

「Open Kinect Project」。賞金も用意されている

「Open Kinect Challenge」コンテストの概要

 まず簡単にKinectの概要について触れておこう。KinectはRGBカメラ(640×480ドット)、16ビットのモノクロカメラをベースにした深度センサー(Depth Sensor)、そして音声を入力するラインマイクの主に3つのセンサーから構成される。本体は自力駆動可能なチルトスタンドになっており、カメラなどで対象者を自動追尾できる仕掛けがある。これらを組み合わせることで、人が動いた動作や音声によるコマンドを認識し、メニュー選択やゲームのコントロールに利用するわけだ。

 Adafruit Industriesはこれを非常にクールなデバイスだと表現しており、Xbox 360専用にしておくのはもったいないので、Mac OS XやLinux、Windows、組み込みシステム、ロボットなど他のデバイスへと応用できないか、というのが本プロジェクトの趣旨だ。

Kinect各部の役割

 Kinectは基本的にUSBケーブル1本で動作しており(システムによっては外部電源が必要)、デバイスと接続先のマシンとの間で行なわれているデータのやり取りの内容がわかれば、ドライバやアプリケーションを記述することが可能だ。これをオープンソースで仕様とソースコードを公開し、あらゆるOS上で動作するよう開発を促さなければならない。

 Adafruit Industriesではハッキングができた証拠として、オープンソースのライセンス化が可能な仕様の文書化とともに、画面上にRGBカメラで撮影したVGA画像と深度センサーの映像を1つのウィンドウに表示し、デモンストレーション動画をGitHubに投稿するよう促している。これらがすべて認められたうえで、賞金が授与されるという。参加資格に制限はなく、これら投稿内容がすべて認められた段階で勝者が決定することになる。

 Adafruit Industriesは主に電子機器の工作キットや既存製品向けのオープンソース化キット(電子基板やソフトウェア)を開発・販売しており、ある意味で電子工作に特化した”大人のホビー屋さん”といったビジネスを展開している。ハッキングコンテストもその一環で、「こんなに面白いデバイスなら、もっといろいろ応用しなければ」という感覚で実施したものだと考えられる。

(次ページへ続く)

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