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ゼロからはじめる最新サーバー選び -基礎編- 第2回

サーバーならではの特別な要素を見てみよう

信頼性から省電力まで!最新サーバーのスペックを見る

2010年11月11日 09時00分更新

文● 伊藤玄蕃

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サーバーは、企業の重要なデータを保管したり、多数のクライアントに対して業務アプリケーションを提供する役割を担っている。そのため、独自機能が付加されたり、クライアントよりも強化される機能がある。それらサーバーの特徴となる機能を、具体的なスペックを例示して説明する。

サーバーに要求される機能

 第1回で紹介したように、「サーバー」のハードウェア面に注目すると、メインフレーム、オフコン、UNIXサーバー、IAサーバーといった複数のアーキテクチャに分類できる。

 しかし、どのアーキテクチャであっても、サーバーは他のコンピューター(クライアント)に対して、データ処理、プリンタの制御、そのほかのいろいろサービスを供給し、複数のユーザー間で資源を共有できるように安定して働き続けなければならない。

 サーバーにハードウェア的な故障、ソフトウェア的な障害、処理速度の低下といった事象が発生すれば、サービスを受けるすべてのクライアントやユーザーに影響する。そのため、サーバーでは通常のパソコンと比べて、以下の機能に関して余裕をもって、あるいは特別に配慮して作られている。

  1. 信頼性(可用性)
  2. 処理能力(性能・パフォーマンス)
  3. 拡張性
  4. 管理性
  5. 省電力

 これらの機能を、サーバーのスペック面から解説していこう。なお、CPUやメモリなど、主要な部品の最新スペックの内容については、別の回に詳細に説明する。

サーバーを止まらせない「信頼性」

 サーバーが停止すると、サービスを利用するクライアントや、そのユーザーの作業も停止してしまう。そのため、ユーザーの業務を止めないように、早朝から深夜までの長時間の連続運転や、用途によっては1カ月やそれ以上の間、ノンストップで稼動し続ける「信頼性」が必要とされる。つまり、ユーザーが使いたい時にはいつでも使用可能な「可用性」が、サーバーでは重視される。

 それでは、サーバーの信頼性を高めるためのスペックにはどんなものがあるのだろうか。1つ目は、個々の部品の信頼性や耐久性を向上するものだ。

 たとえばメモリでは、ECC(エラー自動訂正)機構付きメモリを採用し、データエラーを起こしにくくする。最近ではメモリチップが機械的に故障してもデータを自動修復できるSDDC(Single Device Data Correction)機能付きメモリを採用するサーバーもある。

 また、サーバーを連続運転すると、CPUやそのほかの部品の発熱により筐体内部の温度が上昇し、CPUなどの「熱暴走」が生じやすくなる。そこで、サーバー内部の冷却効率を考えた部品配置が重要となる(写真1)。

写真1 NECのサーバー「Express5800シリーズ」に見られる、エアフローを考慮して冷却効率を向上させる設計(NECのWebサイトより)

 一方、信頼性を高めるための2つ目の手段として、「冗長構成」という考え方がある。これは、「永久に壊れない部品は存在しない」という事実から、「1つの部品が壊れてもサーバー全体が止まらないように、部品を二重化・三重化しておく」という発想から生まれたものである。

 メモリであれば、メモリを二重化し高い耐障害性を持たせる「メモリミラーリング」という手法がある。

 同様にHDDも、複数のHDDでストレージを構成する「冗長構成」がある。この冗長構成には、ミラーリングやRAID(Redundant Arrays of Independent Disks)といった仕組みがある。これらの詳細は、「ゼロからはじめるストレージ入門」の第2回「HDDとRAIDの基礎を学ぼう」(http://ascii.jp/elem/000/000/453/453971/)を参照してほしい。

 HDDもそうだが、モーターを使う部品は壊れやすい。そこで、サーバーの電源や冷却ファンも、ユニットを二重化した冗長構成を取ることが多い(写真2)。部品を冗長構成にしておけば、部品が故障してもサーバーを停止せず、稼動させたまま部品の交換を行なうことが可能になる。これを「ホットスワップ」と呼ぶ。 <

写真2 ハイエンドのサーバーでは二重化ファンが標準装備される(「Express5800/スケーラブルHAサーバA1040,A1160 システム構成図」より)

(次ページ、サーバーの処理能力(性能・パフォーマンス))


 

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