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古田雄介の“顔の見えるインターネット” 第83回

趣味は軍歌です! 「西洋軍歌蒐集館」が深すぎる

2010年11月09日 12時00分更新

文● 古田雄介

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「趣味としての軍歌」という枠を存続させていきたい

―― では、今後の目標を教えてください。

reichsneet サイトとしては、このまま更新を続けながら、ここでまとめた情報をいつか紙にして残したいという思いはあります。

 あと、他人任せではあるんですが、趣味としての軍歌サイトがもっと増えてほしいですね。現在、軍歌を「懐メロ」として扱っているサイトはけっこうあるんですけど、どうしても管理人さんの年齢層が高くなるので、いずれ少なくなっていくと思うんです。

 研究対象として軍歌を扱うサイトが爆発的に増えることはあまり考えられませんし、今後も軍歌を愛でるというジャンルが存続するためには、サブカル的というか、そういうアプローチで攻める枠がしっかりないといけないと思うんですよ。さらにいえば、私がマスターしていない言語圏の軍歌を扱ってくれるサイトが出てきたら嬉しいです。

―― どんな言語に注目しているんですか?

reichsneet アラビア語圏が興味深いです。日本にとっては軍歌……ナショナリズムで国民を動員する装置というのは過去のものですが、軍を持つ中東諸国や、アルカイダのような集団には、「21世紀の軍歌」と呼べるような進化した形態の軍歌が使われていると思うんですよ。でも難しすぎて、私は3行くらい訳して挫折しました。アラビア語が得意という軍歌マニアの人が出てきたら最高ですね(笑)。

―― すべての言語の軍歌に触れられるようになったらスゴいですが、相当大変な作業でしょうね。

reichsneet ひとりでは絶対に無理でしょうね。私の定義でくくるとして、日本だけでも1000曲以上ありますし、ムッソリーニ関係でも200~300曲はあると言われています。ナチスは派生の軍歌も含めるとさらに膨大ですしね。おそらく全世界でいけば数万数十万曲になるんじゃないかと思います。

―― 一生かけても達成するのは難しそうですね。もう「軍歌いいや」と挫折しそうになったことはないんですか?

reichsneet 数ヵ月単位でまったく軍歌を聴かなくなった期間というのはあります。でもふとしたきっかけで戻ってきてしまうんです。軍歌全体ではないんですが、大学時代はナチス関連の本はあえて読まないようにしていました。

 でも、卒業後に書店でたまたまナチスの本を見つけて、それを読み始めたと思ったらいつの間にか部屋にナチス関連本が100冊くらいたまっていたということもあります(笑)。ナチスの本は面白いから、平気で1日3冊くらい読めてしまうんですよ。

 そういう感じで軍歌も、しばらく離れていても、何かのきっかけで堰を切ったように聴きたくなったり、歌詞集を買ったりしてしまいます。過去の思い出が浮かぶたび、頭の中に当時よく聴いていた軍歌がBGMとして流れたりしますから――もう逃れられませんね。

ファシスト党党歌の歌詞カードの裏には、軍歌シリーズの他のラインアップ一覧表が載せられている。「こういうのを見て、新たな検索ワードを得て、まだ見ぬ曲を収集したりしています」とのこと。reichsneet氏の軍歌欲はやみそうもない



古田雄介

筆者紹介──古田雄介


 元建設現場監督&元葬儀業者&現古銭マニア&毎週仕事で秋葉原と都内量販店に足繁く通う毎日を送る現デジタルライター。「古田雄介のブログ」ではみなさんのお勧めサイトを募集中です。




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