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古田雄介の“顔の見えるインターネット” 第83回

趣味は軍歌です! 「西洋軍歌蒐集館」が深すぎる

2010年11月09日 12時00分更新

文● 古田雄介

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マニア同士の交流から、翻訳の正確さをニュアンスレベルまで追求

―― 軍歌に対して神経質な風潮はまだあると思いますが、趣味宣言することでクレームみたいなものは避けられましたか?

reichsneet 「軍歌などを扱ってけしからん」みたいな声はいただいたことがないです。おそらく、そういう人はわざわざ検索して読みに来ないでしょうし。ただ、最初の頃はまれに「政治について語りましょう」というメールは届きましたね。それでも、「僕バカだから分からないんですよ」と誠意を持ってお断りしていたら、そういうメールも次第に来なくなりました。

―― では、狙い通りに趣味としての軍歌サイトとして、順調にアクセス数を伸ばしていった感じですね。

reichsneet ありがたいことに、ほぼ予想通りでしたね。やっぱり、趣味として軍歌に触れたいという需要はあると思うんですよ。マニア同士で「この歌詞のこの部分の訳は違う」とか「ここはダブルミーニングで皮肉をこめている」とか指摘しあったりするようなサイトは喜ばれるんじゃないかと。

 歴史的な背景や人道的な側面に配慮して真面目に論じるとなると、趣味の範疇を超えた知識も必要になってくるじゃないですか。そうじゃなく、ただ好きだからオタク的に語りたい。軍歌を真面目に扱っている人も、なんでそんなに集めているのかといったら、そういう欲求からという人も少なからずいると思うんですよね。

―― サイト上の交流を通して、新しい発見はありますか?

reichsneet たくさんありますね。歌詞の訳し方も色々と勉強させてもらったりします。自分はつい大げさに訳してしまうところがあって、ニュアンス的なところで「そこまでの誇張はしていないよ」を指摘されることも多いです。歌詞を調べていくうちに、ドイツ語とフランス語はある程度読めるようになりましたけど、やっぱり微妙なニュアンスまでは確信が持てないですから。

―― そこは本当に難しいところですね。翻訳の限界もあるでしょうし。

reichsneet 外国の軍歌の意味合いを本当に理解するなら、ちゃんとその言語で会話して現地におもむいて、五感を使って覚えないといけないと思うんですよ。一時期は語学学校に通ったりもしたんですけど、すぐ断念してしまいました。日本語の時点で会話が苦手だから(笑)。普段からそんな和気藹々としたコミュニケーションがとれる人間じゃないのに外国語でそれができるわけもなく、そこは断念しましたね。

英国の書店サイトで購入したという、ファシスト党党歌「GIOVINEZZA!(青春)」の歌詞カード。海外の歌詞を調べる際は、辞書を片手にキーとなる単語をピンポイントで訳していき、全体像を徐々に浮かび上がらせるという

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