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「LightWave 10」開発者・RobPowersに聞く

想像以上にすごい! 映画「アバター」、驚異の3D舞台裏

2010年10月29日 12時00分更新

文● 佐藤ポン

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「ジュラシック・パーク」から20年、映画に1つの革命が

 バーチャルカメラシステムとは、バーチャルカメラ(InterSense VCAM)という特殊なカメラと、3D対応の特殊なマウス(3Dconnexion社製)を使い、ソフトの中に「撮影スタジオ」を再現するもの。使い方によっては、「3DCGで合成した撮影スタジオ」を扱えるようになる。

 ソフト内でCGと合成した「撮影スタジオ」をディスプレイに写し出すことで、「3DCGセット」と「実際の役者」が合成された画面を、役者を含めたスタッフ全員が見ながら映画を作れるというわけ。iPhoneアプリ「セカイカメラ」が高精細になったと想像するといい(関連記事)。

 これはあまりに臨場感があり、「アバター」撮影時には、役者たちが「ここで(CGの)花に軽くタッチした方がよくない?」と演技を決めたことも多々あったという。

「バーチャルカメラシステム」を動画で見てみよう


 ここで比較したいのは、実写映像と3DCGのリアルな合成が話題になった、20年前の映画「ジュラシック・パーク」(1990年)だ。クロマキー合成という技術を使った映画で、コンテには「この辺りに恐竜がいる」という書き割りがあったことだろう。

 このとき役者たちは、青いカーペット(クロマキーセット)の中で「恐竜がそこにいるものとして」演技をしなければならなかった。だがアバターの場合、役者たちはディスプレイに映った3DCGセットを見ながら演技する。そこには本当に「恐竜がいる」のだ。

 この20年間で、役者たちは「恐竜と一緒に」演技ができるようになったわけである。

大きなバーチャルカメラをぐりぐり動かして(左)、CGの車(右)を「撮影」する。ここで3DCGを実際の空間とリアルタイムに合成しながら映像を作ったのが、映画「アバター」だ

 ちなみに撮影では、キャメロン監督が自らカメラマンとなってバーチャルカメラを操作し、各シーンの構図を決めていた。事前に絵コンテで描いていた構図よりも美しいシーンを「3DCG空間で」見つけ、それが採用されたシーンもあったのだとか。

 こんな近未来的な撮影ができるのも、3DCGツール内に作られた撮影セットとバーチャルカメラシステムが映画制作に採用されたからだろう。

 ただし、「InterSense VCAM」約500万円で、3Dマウスは約100万円。さらに、約2メートル×1.5メートルのセンサーを設置するので、それなりに広いスタジオが必要となる。とてもアマチュアが扱えるレベルではない。

 ロブ氏は、「もちろんすべての人がバーチャルカメラシステムを使えるわけではないが、LW10はアマチュア3DCGクリエイターからプロの仕事まで耐えうるツール。プロの仕事をサポートする機能として取り入れている」と話していた。

こちらが3Dマウス(約100万円)。3D平面を360度ぐりぐりと動かせる

(次のページに続く)

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