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氷川竜介の「ファンなら目を鍛えて楽しめ! アニメ高画質時代」 第1回

大人なんだから、そろそろまじめにアニメを見なさい

放送だけじゃ満足できない!高画質アニメを堪能する方法

2010年11月23日 12時00分更新

文● 氷川竜介(アニメ評論家)

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ジャンル別ブルーレイ売上(2009年)

ジャンル ブルーレイ販売金額
ブルーレイ全体 241億1500万円
日本の一般向けアニメーション 121億2800万円
日本の子供向けアニメーション 500万円
海外の子供向けアニメーション 500万円

 昨年販売されたブルーレイディスクのうち、半数以上がアニメ作品だと言われている。アニメのブルーレイ化は着実に進んでおり、今年になっても勢いは落ちない。熱心なファンの多いことの表れだ。

 しかし、アニメを本当の高画質で観るにはどのような機器を選び、どのような設定を選択すればいいか、という情報は思った以上に世の中に出回っていない。ハイビジョンだから放送とパッケージ版は同じ画質──そんな風に誤解してないだろうか?

 アニメとAV機器の関係について改めてどうするか、を考えていくのがこの連載だ。

アニメーションは“動くテストパターン”である

── 以前、氷川さんが書かれたコラムで、アニメファンは昔から画質を追求してきて「ビデオの改造なんかも当然のようにやってきた」という話がありました。そのときは「さすがにそこまでやらないだろう……」と若干驚いたんですが。

氷川竜介 1980年代前半ごろのアニメファンは、SFファンで理系が多かったんです。

 その流れでAV(オーディオ・ビジュアル)マニアになり、技術を掘り下げて改造までする。理由は単純で、アニメを正確に再生しようと思ったらスペックの知識がないとダメだし、そもそも「正しい再生か」と疑問を持つ人は自動的に、そういう方向に関心が向かうわけです。

 VHS・ベータの時代からアニメーションは“動くテストパターン”だと言われてきました。

 輪郭線の中を色ベタで塗ったら、テストパターンと同じ。色再現はもちろん、輪郭がどれだけにじまないか、ベタ色がどれだけチラつかないか、ノイズの有無にマニアはずっとこだわり続けてきました。

 スペックの進化という部分では水平解像度が代表ですね。レーザーディスクが主流だったのもそうだし、ベータからEDベータ、VHSからS-VHSといった形で高画質フォーマットを望み、投資して進化の最前線を追いかけてきたのはアニメファンでした。

アニメ作品の3D対応も気になるところ。果たして3D時代の“正しい再生”とは、一体どんなものになるのだろうか。この辺についてもいずれ当連載で扱っていきたい(写真は3Dに対応するソニーのBRAVIA最上位モデル「KDL-46HX900」と3Dメガネ)

 もっとも当時と今ではアニメの制作環境もずいぶん変わりました。現在では、デジタル制作が主流になり、米国の劇場作品に関しては、2004~5年から3Dに大幅にシフトして、2Dは最近になって復活するまで一時中止されてました。これは「国際的には~」と言ったほうが正確かもしれません。中国や香港、インドも同じ流れなので。

 そんな状況でも、日本はかたくなに手描き中心の2Dアニメを守り続けています。伝統的な「背景」に「セル」を重ね、映画的な表現で立体感を狙っていく方法です。2Dという言葉に大きな誤解があって、アニメーターは、平面的でぺったんこな絵を描きたいわけではないんですね。そうではなく、「2D素材を使って、疑似的な立体感をどう狙うか」を追求してきたのが、日本のアニメです。

 立体感というのも厳密ではなくて、「映像の中にいる感じ」というか、「フィルムの中の架空の世界観に観客をいざなう」ことを目指していくのが2Dアニメの世界なんです。

 なぜそうするか。日本人にとっての世界観は、もともと輪郭線のある2Dをついたてのように積み重ねたものだとも言われていているんです。遠近法は西洋の絵画の手法で、日本人にとっては『鳥獣戯画』のような遠近感のあまりない平面構成になじんでいるので、2Dのセルアニメ表現のほうが世界に没入しやすいのかもしれません。

 そもそも日本画には、対象をアウトライン(輪郭線)で捉えるという、西洋画とは違うアプローチがとられています。でも、アメリカの3Dアニメには輪郭線がないでしょう? そのかわりに色と陰影と質感を重ねるという、要するに油絵の考え方なんですよね。

 確かに欧米のアニメでも昔の作品には輪郭線がありましたが、彼らはずっと邪魔なものだと考えていたのかもしれないです。

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