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最新プロセッサーの投入でますます高速に

日本オラクル、「Oracle Exadata Database Machine X2-8」発表

2010年10月21日 09時00分更新

文● 渡邉利和

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10月20日、日本オラクルはOLTPとDWHの基盤を統合可能とするデータベース・マシンの最新版として「Oracle Exadata Database Machine X2-8」を発表した。

最新世代プロセッサーの採用で暗号化も標準へ

 Oracle Exadata Database Machineは、x86サーバーとストレージ、インターコネクト(Infiniband)やOracle Databaseソフトウェアを組み合わせて事前構成されたデータベース専用マシン。初代が2009年1月、ハードウェアがサンに変更された2代目「Exadata V2」が2009年11月にそれぞれ国内発表されており、おおむね年1回のバージョンアップのサイクルを守っている。V2からX2と、ネーミングが素直ではない感もあるが、中規模までをカバーするX2-2とハイエンド・モデルのX2-8の2モデルで構成される。

Oracle Exadata Database Machineのハードウェアアーキテクチャ

 ハードウェア面では、X2-2ではプロセッサーがIntelの最新世代Xeon(Westmereコア)である「Intel Xeon 5670」(6コア、2.93GHz)に更新された(V2ではXeon 5540 4core)ことに加え、メモリ搭載量がデータベースノードあたり72GBから96GBに増量されている。

 Xeon 5600番台を採用したことでもたらされた新機能として、同プロセッサに実装された新しい命令セットであるAES-NI(Advanced Encryption Standard New Instructions)が利用可能になったことが挙げられる。AES-NIは、暗号処理をプロセッサーハードウェア側で高速処理するアクセラレーション機能となる。Oracle Exadata Database Machine X2-2では、AES-NIを活用し、復号化の負荷をハードウェアにオフロードすることによって暗号化されたデータベースへのアクセスのオーバーヘッドをほぼなくすことに成功している。この点について日本オラクルの常務執行役員 テクノロジー製品事業統括本部長の三澤 智光氏は、「従来はパフォーマンス上の問題からごく限られたデータだけを暗号化するという運用しかできなかったが、今後は必要なデータすべてを暗号化しておく、という使い方が可能になる」と語った。

日本オラクル 常務執行役員 テクノロジー製品事業統括本部長 三澤 智光氏

 また、ソフトウェア側でのアップデートしては、OLTPワークロードに対するQoS管理機能が追加された。あらかじめ設定されたポリシーに従い、システム側で自動的に常時トランザクションのパフォーマンスを監視しており、ポリシーで設定されたサービスレベルを下回っていることが検出された際には、システム管理者に対して改善のための対策の提案を行なう。ポリシーの設定やパフォーマンスの監視は、標準の管理ツールであるOracle Enterprise Managerの画面に統合されている。

“アプライアンス”ではなく“マシン”

 製品説明を行なった米オラクルの製品統括バイスプレジデント マーク・タウンゼント氏は、今回のX2が「クオーターラック」「ハーフラック」「フルラック」の3種のサイズで提供されることを強調し、「スモールスタートが可能で、必要に応じて段階的に拡張できる」とした。また、パフォーマンスに監視してはさまざまな分野の競合製品とのベンチマーク結果を照会しながら「データウェアアプライアンスよりも高速」「ハイエンド・アレイよりも高い処理能力」「データ圧縮機能によって同一の物理容量でもより大きなデータ容量を格納可能」といった特徴を紹介した。

米オラクルの製品統括バイスプレジデント マーク・タウンゼント氏

 また、三澤氏は「Oracle Exadata Database Machineをデータベース・アプライアンスと呼ぶのは間違いだ」と語った。同氏によれば、「アプライアンスは単機能だが、ExadataはOLTPとDWHという異なる処理を扱え、単機能ではない」とのことで、これを受けて製品名も「アプライアンス」ではなく「マシン」と名付けられているのだという。

 単機能か多機能かは、どのレベルの機能に注目するかという粒度の問題に過ぎないのでそれはよいとして、「OLTPとDHWの両方の処理を事実上リアルタイムに処理できるExadataでは、従来不可能だった新しいアプリケーションが実現可能になっている」と三澤氏は指摘する。たとえば、POSレジでカードを使って会計を行なう場合、このトランザクションを受けて即座にデータマイニングのプロセスを実行し、今回の購入データを踏まえたリコメンデーションを提示する、といった処理が可能になるのだという。

 従来は、OLTPのトランザクションをデータベースに記録した後、このデータを外部に書き出し、それをDWHシステムに読み込ませた上で数時間かけて解析する、という形でしか実現できなかった処理が、Exadataであればリアルタイムでより高精度な結果を返せるというわけだ。

 なお、ハードウェア価格は、X2-2クオーターラックが3358万6,971円、X2-2ハーフラックが6157万6114円、X2-2フルラックが1億1195万6,571円、X2-8フルラックが1億6793万4857円。いずれも税込で、別途Oracle Software Licenseが必要。

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