このページの本文へ

前へ 1 2 次へ

Fusion-io技術説明会で明かされたエンタープライズ市場

I/Oが高速化すれば上位クラスのサーバーが売れる?

2010年10月20日 06時00分更新

文● 渡邉利和

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

10月15日、フュージョン・アイオー(以下、Fusio-io)のCOO、ランス・スミス氏の来日に合わせ、技術説明およびデルでの検証の結果紹介が行なわれた。

エンタープライズ向けの半導体ストレージとは?

Fusion-io ワールドワイドセールス シニア バイス プレジデント ジム・ドーソン氏

 Fusion-ioは2006年設立、最初の製品出荷が2008年というまだ若い企業であり、現在はNANDフラッシュを使ったPCI-eデバイスを主力製品としている。まず登壇した同社のワールドワイド セールス シニア バイスプレジデントのジム・ドーソン氏は、設立からの同社の歴史を紹介し、最初の製品出荷後、2009年から2010年にかけて同社の業績が急成長し、現在では「3桁ミリオン・ドル」の売り上げを達成するまでになっていると明かした。また、2009年にはアップルコンピュータの創業者であり、初期のハードウェア/ソフトウェアの開発に天才的な手腕を発揮したことで名高いスティーブ・ウォズニアック氏がチーフ・サイテンティストという立場で同社に参画したことも紹介された。

 次いで同氏は、同社の取り組みの中核となっている「CPUとストレージの速度差」について丁寧な解説を行なった。同氏によれば、オリジナルのIBM PC/ATアーキテクチャがまだ健在だった1987年頃には、メインメモリとハードディスクはほぼ同速と見なすことが可能だったが、10年後の1997年頃には25倍の差がついており、2009年にはこの差は600倍に拡がっていたという。計算上は、600台のHDDを並列化して一気にデータ転送を行なうことができればメモリと同等の速度になるということだが、これは到底現実的ではない。そこで同社が採ったアプローチが、「容量はDRAM(メインメモリ)より多く、速度はHDDより高速なストレージをメモリとHDDの間に置いてギャップを埋める」ことだ。

 同氏は、Fusion-ioのテクノロジーによってアプリケーションのパフォーマンスが10倍から40倍向上した例もあるとした。

NANDフラッシュの3つの課題とは?

 続いて登壇した同社のCOOのランス・スミス氏は、より技術的に掘り下げた解説を行なった。

Fusion-io COO/エンジニアリング担当上級副社長兼製品マーケティング担当上級副社長 ランス・スミス氏

 同氏は、同社製品で利用しているNANDフラッシュは、チップレベルでは一般的なUSBメモリキーと何も違わないと明かす一方で、「デジタルカメラなら、撮影した写真データの中で画素1つ分のデータが失われたとしても誰も気づくことはないだろうが、エンタープライズシステムでは1ビットでもデータが失われてはいけない」とエンタープライズ向けの要件について説明した。

 同氏は現状のNANDフラッシュの問題点として、「摩耗」「データ化け」「持続性」の3点を挙げた。摩耗(Wearout)とは、データの書き込み/消去の回数に制限があることを指す。これは現状のNANDフラッシュの技術的な制約であり、DRAMとは根本的に異なる点だ。現行製品でも、書き込みが特定箇所に集中しないように領域全体に分散させるなどの手法で全体の摩耗状況を平準化し、特定箇所だけが速く摩耗することによって利用可能な容量が減少することを避けるような工夫がされているものが増えているが、摩耗しない製品はなく、長期間利用していればいずれ寿命を迎えることは避けられない。

 データ化けは、本来記録されているべきビットが逆転してしまう現象で、セルへのアクセスに際して発生する可能性があるという。持続性も似たような問題だが、長期間データを保持させておくと、電荷が揮発するようなイメージでデータが失われる可能性があるという。また、NANDフラッシュのアクセス速度は均一ではなく、操作によって速度が異なる点も問題だという。一般に読み出しは高速だが書き込みは読み出しよりは遅く、データの消去はきわめて遅いという不均衡がある。

 こうした、既存のNANDフラッシュが抱える諸問題への対策として同社が採った手法は、大きく「コントロールパスとデータパスの分離」と「FlashBack Technology」の2つだ。

 Fusion-io製品では、一般的なSSDとは異なり、ドライブをATA/SATAバスに接続するのではなく、PCI-Expressカードとして実装している。これによって、ディスクインターフェイスのデータ転送速度の制約を回避し、より高速なPCI-Expressバスのパフォーマンスを活かすことでより高速なストレージを実現している。このとき、コンピュータ側からのアクセス命令はOS内部の仮想ストレージレイヤからPCI-Expressバスへと送られ、データ転送はメインメモリと直接やりとりされる。さらに、ボード上に実装されるNANDフラッシュ・チップは25チャンネルに分散して並列配置され、各チャンネルには2~8バンクのチップが接続される。大規模な並列アーキテクチャとなっていることでデータ転送を最高効率(10Gbps~20Gbps)で実行することができるように配慮されているわけだ。

Fusion-ioの“Split Path”(コントロールパスとデータパスの分離)アーキテクチャの解説図

 また、FlashBack Technologyは、データの信頼性を確保するための冗長化/自己修復機能となる。考え方としてはHDDをRAID構成にするのと同様に、パリティ領域を確保することでNANDフラッシュチップの一部が破壊されたような状況でも正しいデータを復元できる。これらの技術の組み合わせにより、同社製品では、PCI-Expressバスの上限速度でのデータ転送を連続無停止して実行し続けた場合でも、製品寿命は10年に達するという。事実上摩耗しないと考えてよいレベルの耐久性が確保されているとみなしてよさそうだ。

データパスコントーラの詳細とFlashBack Technology

(次ページ、デルによる検証の結果は?)


 

前へ 1 2 次へ

ピックアップ