T教授の「戦略的衝動買い」 第120回

「必然のデザイン」に納得!!　ABLOYの南京錠を衝動買い！

　筆者が購入した「PL330/25」は、欧州EN基準セキュリティグレードが「3」の南京錠だ。重量約300g、直径8mmの硬化ボロン鋼製シャックルの内側幅は25mm。25／50／100mmとシャックルの内側の高さが違う製品が用途別にラインナップされており、今回は一番低い25mmのコンパクトなタイプを入手した。

　本体素材は、ハイエンドモデルで採用されている硬化鋼ではなく、真鍮製。シャックル挿入部の本体内部は、施錠・解錠の度に雨水や埃・砂などが入る危険性が高いものの、シャックル挿入部の底面から外部まで縦に貫通穴が施され、動作を阻害する邪魔物を外部に排出する仕組みを採用している。

真鍮の本体、硬化ボロン鋼製のシャックル（逆U字型の部分）の両方をクローム仕上げし、一体感を出している

鍵穴は底部にある。左側の穴は、シャックル挿入部の底に雨水や埃、砂などが溜まらないように外部へ排出するための貫通穴

　ボールベアリングの左右移動による施錠・解錠のように、シリンダー状スプリングや板バネを一切使用することなく、精度の高い複雑な機構を極めて精巧なメカニズムで実現している。まるで映画に出てきたような、砂と岩盤の重量バランスによってファラオの財産を守る”ピラミッド内部の扉開閉システム”をイメージさせる。

見た！　衝動買いした!!

　ABLOY製PadLockの華麗でスムースな動きを見てしまうと、南京錠を必要としていなくとも間違いなく衝動買いする。そう断言できるほど素晴らしく、筆者は実際に衝動買いしてしまった。錠前本来の目的だけを最短距離でスマートに実現する過程でできあがった「必然の機能美」、まさしく「必然のインダストリアル・デザイン」には決して勝てないのだ。

冗長性を極限まで廃し、機能を追求したプロのための道具。「PL330/25」には、そんな製品にこそ宿る機能美が感じられる。必然が生み出す機能デザインは最高だ

今回の衝動買い

アイテム：フィンランドABLOY／「PadLock PL330/25」
価格：8925円（信頼文具舗にて購入）

T教授

　日本IBMから某国立大芸術学部教授になるも、1年で迷走開始。今はプロのマルチ・パートタイマーで、衝動買いの達人。