コンペとはコンペティション(competition)の略で、クライアントが複数の会社に企画提案の発表を要請して、比較検討するために実施するものです。コンペを実施することにより、クライアントは希望に沿ったサイトを制作するのに最適な発注先を決定できます。
コンペに参加する場合は、クライアントが作成するRFP(Request For Proposal:提案依頼書)と呼ばれる書類に基づいて、企画提案書や見積書を作成します。特にRFPがない場合は、クライアントから提案に必要な要件をヒアリングをします。
大規模なコンペでは合同説明会を開いてRFPの内容を説明し、質疑応答を受け付ける場合もあります。
コンペのタイプと参加方法
コンペは、クライアント側から広く参加を呼び掛けてオープンに実施される場合と、コンペであることが制作会社側には告げられない場合があります。
オープンタイプのコンペでは、クライアントのWebサイトや情報サイトなどにコンペの参加方法が公開されている場合もあります。募集サイトを定期的にチェックして、情報公開と同時に資料作成に取りかかれるように準備しておくとよいでしょう。
Webサイトで詳細が公開されないコンペの場合は、クライアントや取引先からコンペの情報を入手する必要があります。気づいたころにはコンペの申し込みが終了していた、といったことがないように、クライアントや取引先とは普段から連絡を密にし、情報のアンテナを常に張っておくことが重要です。
Webサイト制作のコンペの場合、第一次審査の段階ではWebサイトやメールで企画提案書や見積書を送付し、第一次審査を通過した企業しかプレゼンに参加できないこともあります。プレゼンを前提とした通常の企画提案書とは違い、最初の企画提案書ですべてを理解してもらえるような内容にすることが大切です。
コンペに参加する際の注意点
クライアントとの信頼関係が十分に築けていれば、RFP作成前の段階、場合によってはコンペが実施される1年以上前から、何らかの相談を受けるケースもあります。大規模なコンペであればあるほど事前の準備も必要で、正確な企画提案書の作成にも時間を要します。
一方、事前の情報がまったくない状態のコンペ案件には慎重な判断が必要です。まずは、コンペ情報を得た経緯や競合先の情報、参加予定の企業数、予算規模など、できるだけ正確な情報の入手に努めてください。落選した場合、準備に要した時間、コストが無駄になるリスクがあるため、情報次第ではコンペに参加するかどうかの経営判断が問われることもあります。
著者:水野良昭
JWDA(一般社団法人日本ウェブデザイナーズ協会)理事。1968年東京都生まれ。商社7年勤務後、シリコンバレーに渡米。帰国後、自治体WEBサイトを構築。その後ISPにてグループウェアASP商品化。第13回 KSPベンチャー・ビジネススクール 準優秀賞受賞。同ビジネスプランにて、オンラインデスクトップ株式会社を設立。