家に帰って画質をチェックしてみると……
さて、キャンプから帰ってきて、さっそく自宅のテレビ画面で再生したり、動画編集ソフトでパソコンに取り込んだりしてみた。ちなみに、付属のソフトウェアは「PMB」(Picture Motion Browser)で、動画や静止画を取り込んで整理や再生が手軽にできる。
ここから、DVDやBDなどへダビングすることも可能だ。そして、動画編集用ソフトとしては、「Vegas Movie Studio HD Platinum 10」のダウンロードクーポンが付属する。多彩なトランジションやビデオエフェクトを使った高度な作品づくりができる。ただ、筆者はiMacユーザーで、Windowsマシンはネットブックのみという残念な環境のため、ダウンロードはしてみたもののまだ試してはいない。なお、Macintosh環境でもiMacに付属する「iMovie」を使って取り込みから編集まで一通りのことは行なえる。
そして、パソコンを使わなくても、BDレコーダーがあれば、USB経由で内蔵HDDにダビングが可能。タイトルやエフェクトの追加はできないが、BDレコで簡単に編集してBDなどに保存できる。さらにHDMI端子を使えば、テレビに直接接続して映像を再生することもできる。
その映像は「これぞハイビジョン!」と拍手したくなる高精細さや、期待以上のレンズ性能など、買って良かったと思える点は数多いのだが、気になる点も多かった。
一番気になったのは、比較的明るい場所ではゲイン設定がやや高めになること。わずかに陰のかかった部分や木陰での撮影となると、ややノイズ感が多い映像になることが多かった。
ゲイン設定は、本体の操作ボタンで直接呼び出して設定を切り換えることもできるので、室内や暗めの場所で撮る場合は、ややゲインを下げ気味にして撮る方がノイズの発生を抑えた撮影ができるだろう。
撮影時のノイズリダクションもあまり、もしくはほとんど効かせないようになっているようで、大画面テレビで再生するとチラチラと動く非相関ノイズが目に付きやすい。筆者は好みもあってテレビのノイズリダクションをなるべく使わないようにしているため、余計に気になるのかもしれない。
余談だが、ノイズリダクションはノイズ感のない見やすい映像が楽しめるが、ディテールがわずかながら欠落することもあるので、精細な映像を求めるとノイズリダクションは控えめにした方がいい。
また、テレビなどで精細感を意識した画作りをすると、どうしてもノイズも目立つ傾向になりやすい。これは本機の画作りにも通じる考え方だが、それだけに、見やすくしかも精細感の高い映像を撮ろうとすると、撮影時に十分にケアすることが必要になってしまう。このあたりからも気軽に撮れるビデオカメラではないということがわかる。
ゲイン設定を低めにすると、当然ながら映像は暗くなり、夜間のシーンなどは難しくなる。本機の映像は明るいシーンはもちろん、暗いシーンでも色鮮やかで鮮鋭感のある映像が撮れるのだが、ノイズのチラつきの点を考えると暗いシーンの撮影は注意深く行なった方が良さそうだ。
このほか、細かい模様で構成された生地などを撮影すると、モアレ状のカラーノイズが出てしまう点も気になった。高画質フェチ的には、本機の高解像度を存分に発揮できるみっちりとテクスチャーの詰まった絵を撮りたくなるのだが、時折カラーノイズが目立つためにアングルや視点を工夫する必要がある。静物を撮るときは問題ないのだが、動いているものを撮っていてもたまに発生していることがあるので、高画質な映像を撮ろうというときには注意した方が良さそうだ。
実際に使って気になった点を列挙しているため、あまり良い印象ではないように感じるかもしれない。しかし、基本的な素性はかなりの高精細な映像で、色乗りの豊かな映像であるのは間違いない。だが、太陽光線の具合や構図など、条件が整ったときに撮れる映像と、そうでないときに撮れるものの落差が大きいため、よけい気になりやすいのだ。
そういった失敗を防ぐなら、撮影前にゲインをはじめ、ホワイトバランスもオートまかせにせずに試したほうがいいと思うし、より自分のイメージ通りの撮影をしようと思うなら、ピントや露出、シャッター速度も吟味した方がいいだろう。ポテンシャルはかなり高いのだが、使いこなすには知識や腕、なにより撮影の手間を惜しまないことが要求されるビデオカメラだとわかった。これではまるで本格的な静止画撮影のよう。なかなかに手強いビデオカメラだ。
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