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IDF 2010レポート Vol.1

IDF 2010でインテルの次の主役 Sandy Bridgeが披露

2010年09月15日 02時09分更新

文● 塩田紳二

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HDRにビデオ解析、モーションコントローラー
多彩なデモでSandy Bridgeをアピール

マイクロアーキテクチャーのロードマップ

マイクロアーキテクチャーのロードマップ(画像はIDF資料より引用)。2011年には32nmでSandy Bridgeが登場し、翌2012年の22nmプロセスでは、同じマイクロアーキテクチャーを使うIvy Bridgeが登場予定

デビッド・パルムッター氏

インテル・アーキテクチャー事業本部長のデビッド・パルムッター氏

 オッテリーニ氏に続いて登場したのは、インテル主席副社長兼インテル・アーキテクチャー事業本部長のデビッド・パルムッター(David Perlmutter)氏だ。パルムッター氏は、「かつてはパンチカードを使って操作していたコンピューターも、今ではグラフィックインターフェースを使うのが普通である」と述べ、今ではビデオを撮影したら、短期間でこれをエンコードして、Facebookのようなサービスを使って公開するというのがPCの利用方法のひとつであると、利用方法も大きく変化していることを示した。

 それを踏まえて、新しい利用方法をイメージしたいくつかのデモが披露された。まず、奥行き方向の情報を取得できる3Dカメラにより、ユーザーのジェスチャーを認識してコンピューターを操作できる米GestureTek社の製品が登場した。これを使うことで、例えばジェスチャーでテレビに表示されている写真を回転させたり、ハンドルを操作するジェスチャーで自動車レースゲームを操作することが可能になるという。

 こうした3Dカメラは、かつては1万ドル(約83万円)以上するものだったが、現在では150ドル(約1万2450円)程度で入手が可能となり、さらにPCの性能が向上して浮動小数点の行列演算が高速化されたことで、人の動きを解釈できるようになったのだという。

 次にパルムッター氏は、Sandy Bridgeについて語った。Sandy BridgeはCPUとiGPUが一体化しているため、ターボ・ブースト時にはCPUがiGPU側の熱的、電力的余裕を利用できることで、より性能が向上できるとした。また、iGPUも性能が向上しており、Blu-ray 3D再生も可能になるという。

Sandy Bridgeでは、同一ダイ上にCPUコア、共有キャッシュ、iGPU(Processor Graphics)が統合されている。CPUとiGPUはキャッシュを共有する。パッケージとしては、従来のCPU+統合チップセット相当の発熱と電力消費になるものの、GPU部分の消費電力が少なく発熱量が小さい場合には、余剰分をCPUのターボ・ブーストで利用できる。そのため、4コアが同時に動作している場合でも、さらにクロックを向上できる可能性がある

 Sandy Bridgeのデモとしては、画像の「HDR」(High Dynamic Range imaging)変換やビデオのエンコードのデモも披露された。Sandy Bridgeにはビデオエンコードのアクセラレーション機能が搭載される。これを使うことで、テレビやハンドヘルドデバイス用のビデオを、より短時間でエンコード可能になるという。

 デモでは現行のCore i7マシンで4分必要なエンコード処理を、たったの2秒で完了させた。また、新たに搭載されたAVX命令により、浮動小数点のSIMD演算機能が2倍に強化されており、たとえば、3D CGのレンダリングのような処理も短時間で行なえるとした。

 Sandy BridgeマイクロアーキテクチャーはPC分野だけでなく、組み込みからサーバーまでのComputing Continuumに対応するという。これまでDSPや専用プロセッサーを使っていたパケットのリアルタイム監視のような作業も、Sandy Bridgeで可能になる。

サーバー向けSandy Bridgeのロードマップ

サーバー向けSandy Bridgeのロードマップ。2011年にはシングルとデュアルソケット向けのプロセッサーが登場。その後は4ソケット以上に対応した「Sandy Bridge-EX」が出て、22nmのIvy Bridgeへと移行する(画像はIDF資料より引用)

 また、ビデオ映像から人や物の動きを検出して、その振る舞いを判定することもできるとした。複数のHD映像を監視して、その中から物が持ち去られるといった動きを検出することが可能だとして、デモも行なわれた。

 米Sixense Entertainment社CTOのジェフ・ベリングハウゼン(Jeff Bellinghausen)氏によるデモでは、同社のモーションコントローラーとSandy Bridgeを組み合わせたデモが披露された。このコントローラーは両手で持ち、その動きを検出できる。デモでは、3Dのリアルタイム表示を自由に動かしたり、3Dオブジェクトの一部を切り取って、別のオブジェクトと合成するような作業をコントローラーで行なってみせた。

 パルムッター氏は最後に、Sandy Bridgeは開発者に対してさまざまな可能性を提供し、センサーなどを組み合わせることで、これまでは夢と思われてきたことを可能にするとして講演を締めくくった。

 繰り返しになるが、今回のIDFはSandy Bridgeの詳細が明かされるタイミングのイベントとなった。今までのNehalemマイクロアーキテクチャーは、Core 2アーキテクチャーのマイナーチェンジにすぎず、極論すれば「64bit対応を強化したCore 2」とも言えた。しかしSandy Bridgeは、内部のリングバスなどでCPUコア、iGPU、そして統合されたメモリーコントローラなど周辺回路を結ぶ新しいアーキテクチャーに変更された。

 加えて、SSEの倍幅となるSIMD命令、AVXを搭載。これにより大きな性能向上を実現している。その反面、SSEではなくAVXで記述しなければCPU本来の性能を出せないなど、かなりソフトウェア開発者に依存する部分もある。今回のIDFを評するならば、「Sandy Bridgeの啓蒙と対応を開発者にお願いするIDF」と言えるのではないだろうか。

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