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電アスレース部“部室”で、「おはようございマジックインキ!」

F1とマジックインキをつなぐ“緑の線”の秘密とは?

2010年09月17日 23時20分更新

文● 末岡大祐/電アスレース部

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F1 2010 meets マジックインキ
予約特典の謎に迫る!

 レースゲーム好きにとって、10月7日の発売が待ち遠しい「F1 2010」。ゲームの内容もさながら、予約特典としてプレゼントされるマーキングペンが気になって仕方がない。なぜ、このグッズになったのか? 仕掛け人であるコードマスターズの浅海さんと、「おはようございマジックインキ!」でおなじみ、Twitter(@magic_ink)の中の人も務めるマジックインキの開発元、寺西化学工業の山田さんに疑問をぶつけてきたぞ!

 なお、今回の会合場所はパブリックビューイングにも参加した(関連記事)、六本木の「F1 PIT STOP CAFETM六本木」。もうここは電アスレース部の部室だ!(今決めた)

マネージャーも参加して、山田さんから貴重な話を聞く。珍しく真面目な活動をする部員たち

店内には「F1 2010」のポスターと共に、SUPER GT富士戦のポスターも!(この後、残念ながら富士戦の中止が発表された)

 その前に、知らない人のために説明しておくと、現在F1ではオプションタイヤ(柔らかいもの)とウェットタイヤにはグリーンのマーキングをするのだが、このマーキングに使われているのが寺西化学工業のマジックインキなのである。色は、市販品とは異なる顔料インキの配合により、明るいグリーンが採用されている。F1の中継を見ると、タイヤにグリーンのラインが入っている姿を見ることができるだろう。

 なお、この特殊なグリーンはFIA(国際自動車連盟)とブリヂストンが共同で推し進めるエコドライブ啓発キャンペーン「MAKE CARS GREEN」の一環で使用されている。キャンペーンの詳細について興味がある人は、ブリヂストンのMAKE CARS GREEN公式サイトを訪れてほしい。

点と点が繋がり線になった

──そもそも、F1のタイヤマーキングにマジックインキを供給することになったいきさつを教えてください。

寺西化学工業 経営企画部 山田廣記氏

寺西化学工業 山田氏(以下、山田) 個人的にF1好きで、テレビ中継を欠かさず見ていたんですね。2007年に雑誌でF1タイヤに白いマーキングをしているのを見つけまして、タイヤに塗っている様子から仕事柄それが某社さんの製品だってすぐわかりました(笑)。そのマーカーのペン先は斜めにカットされているため何度も塗り直していたのを見て、うちの製品のペン先(幅8mmの極太)なら一度で塗れるのに、と歯がゆい思いをしていました。

 ちょうど弊社としても2007年8月に白いマジックの「White SR」という商品をリリースする予定だったので、どうにかして弊社の製品を使ってもらえないかと。白マーカーってあまり需要が多くないんです。なので、販売促進の意味でも何かに使われているという実績が欲しかった。でも、コネも何もないので、とりあえずブリヂストンさんの大代表に電話をして(笑)。

 なんとか担当部署を紹介していただいたものの、最初は「海外メーカーのモノを使うから」と断られてしまいました。ですが、なんとかサンプルを送付する話を取り付けて、White SRが6本入った箱を送ったのです。そしたら、シーズン途中で使ってもらえて、担当の方(ブリヂストン 浜島氏)がその箱を持った写真が雑誌か何かで使われてて。そこからですね、弊社がF1にマーカーをご提案することになったのは。

 このペン先なら、タイヤをモーターにセットして、高速で回しながら「キュッ」と一塗りすれば済むので簡単に塗れるので好評みたいです。

──山田さんの行動力、見習いたいものです。そこからどうやって、「F1 2010」とコラボレーションに結びついたのでしょうか?

コードマスターズ マーケティング部長 浅海和宏氏

コードマスターズ 浅海氏(以下、浅海) ひとりでも多くのみなさんに予約をしてもらうには特典が重要ですが、我々はゲーム化の権利は持っていますが、グッズ化の権利は持っていないので、いわゆる“F1グッズ”を作ることができないのです。

 そして「F1 2010」の予約特典を何にしようかと考えあぐねていたとき、ネットで「F1タイヤに使うマーカーはマジックインキ」だという情報を目にしました。もしこのマーカーを特典グッズにできれば、F1ファンからは「そこを突いてくるか!」と喜んでもらえるでしょうし、F1に詳しくない人でも「なんでマーカー?」と疑問符が浮かべば、そこで注目してもらえる。

 そこで「F1 PIT STOP CAFE 六本木」のオーナーにマジックインキの担当者を知らないかと持ちかけたのです。そこから、(寺西化学工業の)山田さんを紹介していただき、あとはとんとん拍子にゲームの予約特典のグッズとなりました。

──寺西化学工業さんは「F1 PIT STOP CAFE 六本木」と何か繋がりがあったのですか?

山田 我々も「F1 PIT STOP CAFE 六本木」で、今年のモノとは違うのですが、マーカーを会場限定発売していたというご縁もあり、願ってもないコラボレーションでした。最初はまさかここまで話が広がっていくとは思ってなかったんです。

 当初は社内でも「F1に採用されるわけがない」「文房具メーカーなんだからリスクをおかしてまで他のことをしなくてもいいのでは?」との意見がありましたが、今では社員が皆誇りに思っています。今回のようにゲームとのタイアップにも使っていただき、お陰様で通常商品の認知度や売り上げにも繋がりましたし、社内のモチベーションもあがって、本当にやってよかったと思います。まあ最初は強引だったかもしれませんが(笑)。

今回食べた、F1仕様のハンバーグ! 「1」の形に切り抜かれたニンジンがイイ感じ

──まったく別の業界がモータースポーツを介してコラボレーションするってなかなかないですよね。まさに点と点が線で繋がったのような(マジックインキだけに)。では最後にコードマスターズの浅海さんより一言お願いします!

浅海 ゲームはもちろんですが、このマーカーを介してMAKE CARS GREENキャンペーンも知ってもらえれたらと思います。実際にユーザーさんたちも、この特典でマーカーの色の意味を知ったという方もいますし、日本だとモータースポーツは燃料を使いまくって環境に悪いと思ってる方も多いかと思いますが、実はF1の燃費は年々良くなってますしね。ゲームではアクセル全開で遊んで、現実世界ではエコドライブ。いろんな方にゲームとマーカーを手にとっていただき、環境問題を考えるきっかけになればと思います。

──ありがとうございました。

名古屋からわざわざ来ていただいた山田さんと、発売前の忙しい中に駆けつけてくれた浅海さん。おかげで部員たちはいろいろと勉強できました! ありがとうございます!

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