遠隔操作時に失敗すると悲惨なことに?
Hyper-Vのインストールはネットワークに注意しよう!
2010年09月21日 09時00分更新
前回は、Windows Server 2008の仮想化機能Hyper-Vの概要について紹介した。続いては、Hyper-Vのインストール時に注意したいネットワーク設定、そして仮想サーバの作成方法について見ていこう。
Hyper-Vのインストール方法
Hyper-Vのインストールは、ほかのサーバ役割と同様「サーバーマネージャ」を利用する。具体的な手順は以下の通りだ。
- 「サーバーマネージャ」のアイコンを右クリックして「役割の追加」を選ぶ
- 役割として「Hyper-V」を選択する(画面1)
- 仮想サーバから利用するネットワークインターフェイスを選ぶ(画面2)
- 「インストールオプションの確認」で、「インストール」をクリック。その後再起動を行なう
- 再起動後、インストールを行なったユーザーと同じアカウントでログオン。するとサーバーマネージャが起動し、残りの作業が自動的に実行される
以上でHyper-Vのインストールは終わる。注意したいのは、(5)の再起動時に一時的にネットワークが切断される点だ。なぜそのようなことが生じるのか、Hyper-Vのネットワークの仕組みと併せて紹介しよう。
Hyper-Vのネットワークとは
そもそもHyper-Vの子パーティション(仮想サーバ)が外部ネットワークと接続を行なうには、専用の仮想ネットワークを事前に作成しておく必要がある(図1)。この仮想ネットワークは、Hyper-Vのインストール時に、仮想ネットワークを利用する物理ネットワークインターフェイスを指定することで自動的に生成される。また、管理ツールから作成することもできる。
親パーティションに仮想ネットワークを追加すると、物理ネットワークインターフェイスは「Microsoft仮想ネットワークスイッチプロトコル」のみが割り当てられ、TCP/IPは仮想ネットワークに割り当てられる。親パーティションからは、仮想ネットワークがあたかも物理ネットワークインターフェイスのように識別される仕組みだ(画面3)。
このとき、物理ネットワークインターフェイスに以前割り当てられていたTCP/IPのパラメータは、一時的にネットワーク接続が停止したあと、仮想ネットワークに複製される。しかし、どういうわけかパラメータの複製に失敗することがある。そうすると、仮想ネットワークはDHCPクライアントとなり、以前のIPアドレスは失われてしまう。この結果、ネットワークにDHCPサーバがいなければIPアドレスは割り当てられず、いっさいの通信ができなくなるのだ。データセンターに配置した物理サーバをリモート管理している場合は、管理もできなくなる。
こうした事態を防ぐため、マイクロソフトでは物理サーバに複数のネットワークインターフェイスを割り当て、少なくとも1つのネットワークインターフェイスはHyper-Vで使用しないことを推奨している。Hyper-Vで使わなければ仮想ネットワークへの接続も発生しないため、TCP/IPパラメータの複製も行なわれないわけだ。
実は、筆者自身がこの問題に直面したことがある。データセンターのサーバにHyper-V役割を追加し、再起動後のログオンでサーバーマネージャ画面が出てきた直後にネットワークが切断した。通常はしばらくすると回復するのだが、運悪くTCP/IPパラメータの複製に失敗したようである。やむを得ずデータセンターまで出向くことになってしまった。このような失敗をしないためには、ネットワークインターフェイスを複数用意する。もしくは、Hyper-V役割を追加したあと、構成が完全に終わるまではサーバにローカルログオンして作業をする必要がある。
Hyper-Vの構成
Hyper-V自身には設定パラメータはほとんどない。通常必要となるのは、仮想ハードディスクと仮想マシンのパスの変更くらいだろう。手順は以下の通りだ。
- サーバーマネージャを起動し、「役割」-「Hyper-V」-「Hyper-Vマネージャ」のホスト名を右クリックし、「Hyper-Vの設定」を選択(画面4)
- 「仮想ハードディスク」を選び、画面右でパスを変更する(画面5)。性能やバックアップの手間を考えると、OSとは別のディスクを指定することが望ましい。もちろん十分な空き容量も必要である
- 同様に「仮想マシン」を選択し、パスを変更
以上で仮想ハードディスクと仮想マシンの保存場所は変更される。
(次ページ、「仮想サーバの作成」に続く)
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