Cyrixコアを受け継いだGeodeは
AMDに買われることに
ところで、VIAに買収される以前のCyrixは、米National Semiconductorの子会社になっていた。その頃にNational SemiconductorがM1SCコアを流用する形で開発したのが、「Media GX」である。これはCPUコアに周辺回路を統合したものだが、当時のプロセスでは完全にワンチップにするのが難しかったのか、2チップ構成となっていた。
Media GXはその後、「Geode GXm/GX1」と名前を変え、後継の「Geode GX2」も開発されていた。このGeodeの開発部隊は、VIAによるCyrixの買収後もNational Semiconductorに残っていたのだが、2003年にAMDが、Geode部隊を製品ポートフォリオごと買収する。
この結果、Geode GX1や周辺チップまでを全部ワンチップ化した「Geode SC 1100」、Geode SC 1100にグラフィック機能を搭載した「Geode SC 1200/2200/3200」などは、すべてAMDブランドで発売されることになった。また、開発中だったGeode GX2は「AMD Geode GX」の名前で発売されることになる。
その後、AMDはGeode GXをベースに「Geode LX」を投入する。だが、この組み込み向けラインナップは2007年にAMDがATIを買収したのと、ほとんど同時期に廃止となる。Geode部隊のオフィスは閉鎖され、製品もどんどん廃番になっていっており、すでに(同社のElanシリーズなどと同様)過去の製品となってしまった。
Nx586は高性能なるも、
会社が買われて1製品で終わったNexGen
Cyrixとほぼ入れ替わりに参入したのが、米NexGenである。同社は1986年の創業で、当初は386互換チップを狙っていた。しかし製品化するには十分な性能ではなく、しかも開発に時間が掛かりすぎてマーケットが486に移行したこともあり、お蔵入りになっていた。
2番目に開発され、同社初の製品となったのが「Nx586」。トランジスター数は3500万個と、当時としてはかなり巨大なCPUだったが(ダイサイズは0.50μmプロセスの試作品で165mm2、0.44μmプロセスの量産品で118mm2)、性能は良好で同一周波数のPentiumを若干ながら上回る性能を発揮した。
これに続き、同社は1次キャッシュの増量や実行ユニット/デコーダーの拡充を図った「Nx686」を開発する。0.44μmプロセスを使った試作品は1995年10月に完成し、量産は0.35μmプロセスで行なわれるはずだったが、量産を待たずにAMDに買収され、「AMD-K6」として生まれ変わったという話は、前回説明したとおりだ。
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