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「DHCPとDNSくださーい!」がいよいよ実現

OpenBlockSアプライアンスでお手軽ネットワーク導入

2010年08月19日 09時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp イラスト●野崎昌子

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8月19日、ぷらっとホームの超小型サーバー「OpenBlockS」に新製品が登場する。今までのOpenBlockSは用途を限定しないLinuxベースの汎用サーバーであったが、今回投入されるのは、DHCPやDNS、NTP、Syslogなど用途を絞ったアプライアンス。管理者の利便性を考え、導入や展開をスピーディに行なえるという点で注目すべき製品といえる。

お手軽価格で「DHCPとDNSくださーい!」がいよいよ実現

超小型サーバーの市場を切りひらいてきた
OpenBlockS 600

 OpenBlockSが日本の超小型サーバーの市場を切りひらいてきたことに異論を唱える人は少ないだろう。手のひらサイズの超小型筐体に、安定度の高い独自Linuxディストリビューションを載せたOpenBlockSの初号機が衝撃的なデビューを果たしてから、すでに10年が経つ。登場当時は「キワモノ」として見られていた節もあったが、時代に先駆けて省エネ・省スペースを追求してきたOpenBlockSの存在感はますます大きくなっており、累積の出荷台数も2010年8月現在では5万台に達している。

処理能力も向上した「OpenBlockS 600」

 そして、このOpenBlockSの最新モデルが昨年発表された「OpenBlockS 600」である。OpenBlockS 600は、手のひらサイズ・ファンレスという特徴を継承しつつ、CPUやメインメモリを大幅に強化。パケットキャプチャやファイアウォール、グループウェアなど、従来の超小型サーバーでは難しいとされてきたサーバーの処理も余裕を持ってこなせるようになった。また、組み込み向けのJava SE for Embeddedも搭載しているため、ソフトウェアのアプライアンス化も非常に容易になっている。

 だが、このOpenBlockS 600の最大の特徴は、GUI環境でアプリケーションの追加が行なえる「アプリケーションマネージャー」にある。今までLinuxのオープンソースアプリケーションというと、ソースコードの入手やコンパイル、登録など敷居が高かった。しかし、アプリケーションマネージャーを使うと、ネットワーク経由で配信されるパッケージリストから、アプリケーションを選べば、自動的にダウンロード。管理インターフェイスもアプリケーションマネージャー上に登録されるので、簡単に設定管理が行なえる。

 現在、DHCP、DNS、NTP、SyslogといったGUI付きのアプリケーションバイナリのほか、Webメールやグループウェア、運用管理ツール、VPNソフトウェアなどの有償アプリケーションが揃っており、用途に応じて選択することが可能だ。

GUI環境でアプリケーションを追加できる「アプリケーションマネージャー」

より早く展開したいユーザー向けの アプライアンス

 単なるスペック向上だけではなく、手間や時間をかけずにサービスを立ち上げることに注力されたOpenBlockS 600。しかし、DHCPやDNSなどのサーバーをすぐに使いたいというユーザーは、アプリケーションマネージャーからインストールや登録を行なうのですら面倒と思うかもしれない。こうした声に応え、既存のOpenBlockS 600に必要なアプリケーションをインストールしたのが、「OpenBlockS アプライアンスシリーズ」である。

必要なアプリケーションをインストール済みの「OpenBlockS アプライアンスシリーズ」

 ぷらっとホーム 製商品事業本部技術部 ソリューショングループ ソリューション課 マイクロサーバソリューション 担当課長 木村友則氏は「OpenBlockS 600でもアプリマネージャーでアプリケーションが追加できるのですが、『これがDHCPです』とか、一言で済ませられる製品が必要だと考えていました」とアプライアンス登場の背景をこう語る。

 OpenBlockS アプライアンスシリーズは、現在、DNS、DHCP、NTP、Syslogの4種類が用意されており、コンパクトフラッシュにOSやアプリケーションが登録された状態で提供される。まさにユーザーは自社に必要な単機能に絞ったアプライアンスを購入し、ネットワークに差し込めばすぐに利用できる。「GUIのメニューが用意されているので、必要な項目を入力すれば利用可能です」(木村氏)。まさに「DHCPください!」といった感覚でサーバーを購入し、サービスを手軽に導入できるわけだ。

 こうしたDHCPやDNSのアプライアンスは今までも製品化されていたが、高機能な分、高価で、導入の敷居が高かった。だが、OpenBlockSアプライアンスは7万8000円(Syslog BOXのみ16GB CF搭載のため11万2000円)という低価格で導入できる。複数拠点にばらまく場合でも、コストを大きく抑えることが可能だ。

アプライアンスなら多拠点展開も容易

ぷらっとホーム 製商品事業本部技術部 ソリューショングループ ソリューション課 マイクロサーバソリューション 担当課長 木村友則氏

 想定されるユーザーとしてはSOHOや中小企業のネットワークのほか、数多くの拠点を持つ大企業での利用などが挙げられる。たとえば、数人しかいない拠点を全国100箇所に持っているといった企業は多いだろうが、データセンターや本社などにサーバー統合を進めても、DHCPやDNSといったサーバーはやはり必要になる。こうした場合に、OpenBlockS アプライアンスを導入し、本社で設定したサーバー機を拠点に配布するという方式を採れば、多拠点のネットワーク運用を手間なく行なえる。現場での作業はケーブル接続だけで済み、トラブル時は予備機を差し替えるだけで復旧させることが可能だ。

 ここでポイントとなるのは、OpenBlockS 600がサーバーとしての信頼性を確保しているという点だ。低価格なPCをサーバーとして使い、DHCPやDNSなどのサービスを動かせば、確かにOpenBlockSに比べて、初期コストは下がるかもしれない。しかし、PCである限り、故障はつきものだし、トラブル時の対応はきわめて面倒だ。これに対してOpenBlockSは故障の原因となることの多いハードディスクのような装置を持っておらず、通気口もないので、故障要因が徹底的に排除されている。通信事業者での利用も高く、安定稼働の実績は折り紙付きといえる。メンテナンスフリーや長期的なTCO削減を目指すのであれば、サーバーとしての実績の高いOpenBlockSを選ばない手はない。

 このようにOpenBlockSアプライアンスシリーズは、安定度の高いネットワークサービスを容易に導入できる「魅惑の箱」である。「用途が決まっている場合はアプライアンス。汎用的に使いたい場合はOpenBlockS 600がお勧めです」(木村氏)とのことで、導入したいサービスが決まっており、とにかく手早くサービスを導入したい、そしてコストを抑えたいというユーザーは、まず検討すべき製品といえるだろう。

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