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クラウド時代を「Express5800/ECO CENTER」で乗り切れ! 第1回

単にAtomを載せただけじゃない!

データセンターを救うAtom搭載サーバーの秘密

2010年09月15日 09時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp 写真●曽根田元

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NECの「Express5800/ECO CENTER」は、多くのデータセンター事業者が直面する「電力消費」や「冷却」という課題に、真っ向から相対することで完成したサーバーである。なかでも最新のExpress5800/E110b-Mは、省電力CPU「Atomプロセッサー」の採用と電源の最適化により、高い省電力性と収容効率を実現。管理性にも目が配られ、まさにかゆいところに手が届くサーバーだ。

サーバー増加で電力もうなぎのぼり!

 クラウドコンピューティングがもてはやされる昨今、多くのデータセンター事業者はそのインフラ整備に頭を悩ませている。電力消費、冷却、収容密度、拡張性などのさまざまな課題を解決する必要があるからだ。特に電力消費に関しては、サーバーの台数増加にともない、まさに「うなぎのぼり」という状況。3年間の電力コストがサーバーの購入費用を上回るというレポートもあるほか、新規サーバーの投資額が変わらないのに、運用管理コストが増大するという事業者にとっては悪夢にも思える調査も出ている。

 こうした状況に対して、仮想化により物理サーバーの台数自体を減らした仮想サーバーホスティング(VPS:Virtual Private Server)も出てきているが、安価な物理サーバーを並べるというホスティングサービスが依然主流だ。そのため、サーバー自体での省電力化と省スペース化がきわめて重要な解決策となる。

 こうした解決法を具現化したNECのホスティングサービス事業者向けのサーバーが、「Express5800/ECO CENTER」である。Express5800/ECO CENTERは、仮想化対応のモジュラー型サーバー「ECO CENTER」とハーフサイズサーバーや軽量ラックサーバに代表される「iモデル」という2つのシリーズを統合し、さまざまなデータセンターのニーズを取り込むブランドとして登場したものだ。製品としては6コアのCPUと大容量メモリを搭載し、仮想化での利用を前提とした2Wayモジュラー型の「Express5800/E120b-M」や、従来モデルに比べてCPUやHDD容量を大幅に強化した1Uラックマウント型の「Express5800/E110b-1」などがある。なかでも特筆すべきなのが、ECO CENTERの省電力化への取り組みを具現化した新モジュラーサーバー「Express5800/E110b-M」である。

サーバーモジュールをエンクロージャに搭載した「Express5800/E110b-M」

 Express5800/E110b-Mは、3Uのエンクロージャーに最大20台のサーバーモジュールを搭載する高密度サーバーで、物理サーバーホスティングでの利用を念頭に省電力・省スペース化を推し進めた非常にエッジの立った製品だ。Express5800/E110b-Mに関して、製品担当のNEC プラットフォームマーケティング戦略本部 商品マーケティング統括グループ マネージャー 鈴木陸文氏は、1.圧倒的な省電力性、2.ラックの収容効率、3.効率的な運用管理という3つの特徴を挙げる。1つずつ見ていこう。

従来機比約70%の省電力化

NEC プラットフォームマーケティング戦略本部 商品マーケティング統括グループ マネージャー 鈴木陸文氏

 Express5800/E110b-Mは、データセンターの省電力化という問題に対してNECが本気で取り組んだ製品だ。40インチラックに最大80サーバーを搭載可能な1Uハーフサーバー「iR110a-1H」と比較すると、Atomプロセッサー搭載のE110b-Mは、同じ80サーバーを約3分の1の13Uのスペースに収納できる。この場合、消費電力は80サーバーで約2000Wとなり、iR110a-1Hに比べて70%の省電力化が可能になったという。

 この省電力化に貢献するのが、サーバ製品としては初めて採用するAtomプロセッサーである。ご存じAtomプロセッサーは、低価格なネットブックをターゲットにした省電力CPUで、同クロックのCeleronプロセッサーに比べても7分の1という省電力化が実現されている。このAtomプロセッサーを採用することで、大幅な省電力化とともに、システムボードの小型化も実現した。また、CPUからの発熱が抑えられることで、「一般的なサーバーの稼働温度より5℃高い40℃での稼働も可能になりました。こうした高温稼働が実現すれば、外気冷却も視野に入ります」(鈴木氏)という。

Atomプロセッサー搭載により、省電力化のみならず、マザーボードの小型化も実現したという

 確かにAtomプロセッサーの省電力性能は優れているが、当然サーバーCPUとしての実力に関しては性能や信頼性において懸念もある。その点、鈴木氏は「弊社でベンチマークをとって検証した結果、Webサーバーの用途で十分な性能を持つことがわかりました。フロントにExpress5800/E110b-Mをお使いいただき、高速なCPUを搭載したサーバーにアプリケーションやデータベースなどヘビーな処理を担当させることで、全体の最適化が図れます。なによりAtomプロセッサーは、XeonやCore 2 Duoなどに比べ、圧倒的に低価格です」とコストパフォーマンスの高さを強調する。

 省電力化は、Atomプロセッサーの採用のみで実現したものではない。もう1つの鍵は、共有電源ユニット「EcoPowerGateway」の採用である。EcoPowerGatewayは、最大80台のExpress5800/E110b-Mで電源を供給できる専用ユニット。1Uのラックマウント筐体に80PLUS Gold対応の高効率電源を最大4台搭載し、電源の冗長化も可能になっている。では、なぜ省電力化が実現されるかというと、複数のサーバーで電源を共有するとAC/DCの変換効率が最適化されるからだ。「個々のサーバーで電源を搭載した場合は、負荷率はバラバラになりますが、共有すると電源負荷が50%程度に平準化され、AC/DCの変換効率がもっとも良くなります」(鈴木氏)とのこと。これにより、サーバーごとに電源を搭載する場合に比べ、約10%の省電力化を実現しているという。

複数のサーバーから電源を共有し、電力損失を抑える共有電源ユニット

(次ページ、ラックあたり240台の高収容性を実現)


 

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