mixiのフルオープン化にも要注目
ところで、筆者の周りでもアクセス頻度が如実に減ったという声を聞くmixi。一方で、Twitterとの相性が良いFacebookを使い始めるユーザーがジワジワと増え始めているようだ。SNSを巡る状況はどうなるのだろう?
実は、先日8月5日に行なわれた「Facebook Meetup Vol.2」イベントにおいて、株式会社ミクシィの原田明典副社長は、「9月にはmixiをフルオープン化する」と発言している。
これまではTwitterとmixiボイスなど限定的な開放に留まっていたが、今後はFacebookのようにAPIを開放し、他サービスからもmixiのデータベースが利用できるようになる可能性がある。mixiアプリではすでにサードパーティに対して極めて限定的ながらも、mixiのデータベースへのアクセスを認めている。それがどの程度開放されるのか要注目だ。
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| mixiのフルオープン化はソーシャルサービスのさらなる連携を促す |
ここまで見てきたようなソーシャルサービス同士、そしてポータルサイトとの連携が進むなか、日本最大のSNSがフルオープン化に踏み切るインパクトは大きい。もっと早くても良かったのではないかと感じるのは筆者だけではないだろう。
そして、同日のイベントで発表された同サイトへのアクセス状況も注目すべきだ。月間アクセスがモバイル245.4億、PC52.3億と圧倒的な差が開いたのだ。
スマートフォンもシェアを伸ばしているとはいえ、携帯電話全体が1億台を超える一方で、ドコモの予想では10年後でも300万台止まりだ。当面はスマートフォン以外のシェアが無視できない国内市場においては、先の日本語対応だけでなく、従来型の携帯電話への対応が成功の鍵を握っている。
少なくとも現状を見る限りは、mixiはその対応に成功しているのに対して、Facebookはまだ十分であるとは言えない(ただし、スマートフォンではPCとほぼ同様の機能を実現しローカライズもしっかりしたアプリを提供している)。
もちろん、スマートフォンが予想以上の速度でシェアを伸ばす可能性もある。スマートフォン/オープン対応で先行するFacebookをmixiが迎え撃つことができるのか? そのための時間はすでに限られているが、この二者とヤフーがどう向き合うのかを含めてしばらく目を離せない状況が続きそうだ。
問われるプラットフォーム戦略
ソーシャルゲームも成長分野だ。モバゲー・GREEのようにゲームそのものを核としてソーシャルグラフの形成を図るサービスと、mixiのように既存のSNSのアクティビティを高めるコンテンツとして連携して展開するアプローチがある。
先ほどのヤフー同様、ここでも「オープン戦略」が取られている。
ところで、「オープン」と言うとどうしても、自由(FREE)というニュアンスを想像しがちだが、実はその理解は間違いだ。各社とも技術仕様の多くの部分を開示し参加を促す一方で、審査や利益分配率などの方法で、場のクオリティや参加事業者同士の競争をコントロールしている。
「完全に自由ではなぜいけないのか?」という問いへの答えはシンプルだ。プラットフォーム間の競争に勝つため、というのが最大の理由になる。参加事業者の自由に任せるのではなく、コンテンツのクオリティ、全体のバランスを注意深くコントロールできるプラットフォーム運営者が優位に立つことができる。
「プラットフォーム・リーダーシップ」(クスマノ・ガウアー)はこのコントロールに際して、以下の4つの要素(レバー)が重要だと指摘している。
- 社内の作業の範囲
- モジュール化のレベルとインターフェイスの設計
- 補完業者との協調と競合
- 内部組織の再構築
これらの要素の詳細については、この連載を通じて解説を試みたい。また、この4つだけでは不十分だという意見もある。いずれにしても、「仕様を公開すれば完了」といった類の話ではない。
ネットメディアのいまの状況を見て、クローズ戦略をとったり、ソーシャルサービスとの連携を図らないという選択肢は間違っていると断言できる(電子書籍の分野ではまだそういう方向で考える人々も多い)が、一方で、オープン化・ソーシャル連携を選択するのであれば、そのコントロールを行なうことを宣言したに等しい。
Appleは優れたハードウェアメーカーであると同時に、iTunesを核としたプラットフォーム運営にも成功している。電子書籍の例を挙げるまでもなく、どちらかといえばこの分野を苦手としてきた日本企業の対応能力が問われるタイミングがやってきたといえるだろう。
映像メディアに維新は訪れるのか
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| ついに黒字化を果たしたニコニコ動画。次回以降は映像メディアの現状を追っていきたい |
今回はメディアを巡る状況をこのように俯瞰してみた。
映像の分野ではニコニコ動画が、際どい冒険も続けながらも、日本型のプラットフォームを確立し、黒字化にこぎつけた。また、アニメーションという海外に通用すると言われるコンテンツも抱えている。
電子書籍の動きもまだ目が離せない状況ではあるが、映像分野に学べることも多いといえそうだ。次回以降、この分野で何が起こっているのかを追っていきたい。
著者紹介:まつもとあつし
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ネットベンチャー、出版社、広告代理店などを経て、現在は東京大学大学院情報学環修士課程に在籍。ネットコミュニティやデジタルコンテンツのビジネス展開を研究しながら、IT方面の取材・コラム執筆、ゲーム・映像コンテンツのプロデュース活動を行なっている。デジタルハリウッド大学院デジタルコンテンツマネジメント修士。著書に「できるポケット+iPhoneでGoogle活用術」など。公式サイト松本淳PM事務所[ampm]。Twitterアカウントは@a_matsumoto
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