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末岡洋子の海外モバイルビジネス最新情勢 第8回

中東でのBlackBerry禁止の動きとRIMの対応

2010年08月11日 12時00分更新

文● 末岡洋子

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新端末、新OSがリリースされるも
話題の中心は中東でのBlackBerryへの規制

 Research In Motion(RIM)は8月3日、最新のBlackBerry端末として「BlackBerry Torch 9800」を発表した。同社初のフルタッチスクリーンとスライド式キーボードを搭載した機種で、OSも新たになったが、メディアでの話題は中東各国でのBlackBerry禁止に集まっている。RIMは今後、BlackBerry禁止の動きにどう対応するのだろうか?

海外で発表されたばかりの新型の「BlackBerry Torch 9800」。スライド式のQWERTYキーボードに加え、新OS「BlackBerry 6」を搭載する

 BlackBerryは携帯電話メーカーの中でもちょっと変わった存在だ。RIMはApple同様、OSから端末までを手がけるメーカーで、ユーザーにビジネスユーザーが占める比重が高い。RIMは1996年創業だが、2002年にプッシュ式電子メール機能を導入、これが1990年代にPDAを愛用したような欧米のエグゼクティブに受け入れられた。

 早くから携帯電話で電子メール利用が可能だった日本とは異なり、欧米ではそれまでプッシュ式電子メールの利用は不可能に近く、BlackBerryがもたらしたといってもよいだろう。その後、多くのグローバル企業が企業単位で導入、ビジネスマンの必須ツールといわれるようになり、BlackBerry中毒(“BlackBerry Addict”)などという流行語も生まれた。世界で最も有名なBlackBerryユーザーは、アメリカの大統領、Barack Obama氏だろう。大統領選挙中にも活躍したというし、大統領となってからも制限はあるもののBlackBerry利用を継続しているようだ。

 BlackBerryの強みは専用サーバー「BlackBerry Enterprise Server(BES)」だ。同サーバーを利用したソリューションにより、プッシュ電子メールだけでなく「Microsoft Exchange」「IBM Lotus Domino」などグループウェアとの接続が可能になる。セキュリティも大きな特徴で、電子メールをはじめとしたデータ通信はすべて暗号化され、カナダかイギリスにあるRIMのオペレーションセンターを経由する。BESは顧客維持というメリットももたらし、RIMのビジネスモデルにとって非常に重要な技術となる。

 この特異性は他のスマートフォンとの差別化になるが、国によっては障害となる。最近のBlackBerry禁止の動きはその例だ。

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