本格派だけどプロ仕様じゃない
アマチュアの夢がたっぷりつまった高級「ハンディカム」
筆者は数年前から、Blu-ray Discで販売されているドキュメント作品のような、恐ろしいほどの高解像度映像を自分でも撮影したいと夢想し続けていた。ただしコンシューマー向けのHDビデオカメラではやはり難しく、撮影するカメラやレンズの性能に差があると結論していた(筆者のセンスや腕前は棚上げ)。
コンパクトで使いやすい最近のHDビデオカメラだが、使い勝手の両立を考えれば、レンズ性能などを妥協せざるを得ないのは仕方ないだろう。
と、諦めかけていたところに、あくまでもデジタル一眼カメラだが、動画もフルHDで撮影できるNEX-5が出た。言うまでもなく即購入し、レンズ交換は楽しく遊んだものの、動画撮影機能がシンプルでやや食い足りないと感じていた。
そんな筆者に追い打ちをかけるようにこのNEX-VG10発表のニュースである。もちろん購入を決めた。α用のレンズカタログをながめながら、発売日を楽しみに待つ日々だ。
という具合で、筆者はかなり盛り上がっているのだが、筆者としては意外なことに、周囲の評判はクールだ。曰く「中途半端」。確かに高画質という点では民生用機器としては抜群の可能性を持つ。だが、手動ズームのビデオカメラをプロは使わない(はず)。おそらくは、プロが注目する機器にはなりそうにない。映像映像のモニタリングなどの機能面を考えても、プロ仕様ではない。ユーザー像はハイアマチュアや筆者のような高画質フェチだと思われるが、かなりニッチなターゲットと言われたら、その通りだと思う。
業務用のビデオカメラも、民生用ビデオカメラの数倍の価格で手に入るので、高性能なビデオカメラが欲しいなら、そっちの方が良いと考える人もいるだろう。まさにその通りではあるので、議論するまでもなく論破されるだろう。
だが、筆者の欲望はそういう論理を超えたところにツボがあるようで、そんな短所を含めて惚れ込んでいる。
買うか買わないかはともかく、筆者に賛同してくれる読者もいるだろう。本機の根本的なコンセプトである「レンズ交換ができるビデオカメラ」というのは、アマチュアの夢だと言ってもいい。高性能であっても、プロ仕様である必要はないのだ。本機が事実上「α」シリーズに分類される製品でありながら、「ハンディカム」ブランドで発売される理由もそこにあると思う。
良い製品は各社からたくさん発売されているが、面白い製品というのはレアだ。最近、ビデオカメラを持って出掛けることがすっかりなくなってしまったが、これを言い訳にしていろいろなところに行こう。この製品を買ったら、生活まで変わってしまいそう。そういう期待を感じさせてくれたことまで含めて、面白い製品だと断言する。レンズ買いすぎて貧乏になりそうなのが心配だが……。
ちなみに、NEX-VG10購入者には、Sony Creative Software社のビデオ編集ソフト「Vegas Movie Studio HD Platinum Ver.10」(ダウンロード価格 1万3300円)を無償で提供するという。高機能なビデオ編集ソフトを買わなくて済む、という点はお財布にやさしいかも。
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