「7つの物語」があるアルバムに
── 前作のコラボレーションがあって、今回、minatoさんがプロデュースを担当された。一部の曲は、バルシェさんも作詞されたんですよね。
バルシェ minatoさんに土台を作ってもらって、その上から言葉を足したという。だから、ほんとに共作なんです。Skypeチャットで歌詞が返ってきては、もっかい投げて、というのを繰り返して完成させた感じですね。
── 全部オリジナルだと、そのやりとりもかなりハイペースになるんじゃないかと。
minato もう毎日チャットですよね。打ち合わせはSkypeの通話で。いちばん激しいときは毎晩ずっと夜中までね。
バルシェ 曲作りの話に関係なくても、ものすごくしゃべってたから。あんまり長い感じはしなかったけどね。
── 今回のCDについて、コンセプトは決めましたか?
バルシェ 7つの物語に別々の主人公を立てて、その語り手がバルシェという感じです。7曲はそれぞれジャンルも違う曲にしています。
── 物語をばらばらに分けたのは何か理由があるんですか。
minato コンセプトがあった方がいい。でも、やりたいこともいっぱいある。じゃあ「ばらばら」をコンセプトにしちゃったらどうだろうっていう。
バルシェ ニコニコ動画での投稿スタイルで、声を使い分けているんです。でも今回、オリジナルをやるにあたって、声は地声のままで、歌い方でその違いを表現できたらということを考えました。
minato 今回は「バルの声ありき」というところがあるんで。曲はバラバラといっても、一応、ダークな雰囲気でまとめてあります。「ほんとうは怖い大人の童話」みたいな感じです。
── バルシェさんが、特に気に入った曲はありますか?
バルシェ 「NEVER LAND」って曲の歌詞がすごく好き。いちばん自分が歌っていて、気持ち悪い感じになれるというか。
── き、気持ちよくなれるんじゃないんですか!?
バルシェ 直接的な歌詞じゃないんですけど、歌ってて泣きそうになるんですよ。
minato ピーターパンがテーマの曲なんです。大人って、子供から見ると滑稽なところがありますよね。好きでもない人にへこへこしてみたりとか。でも、大人になるにつれてそれを理解できてきちゃう。ずっと子供のままのピーターパンにはそれが理解できない。ピーターパンには、そんな大人の階段を上っていくウェンディはだんだんおかしくなってきているように見えてしまう。そんな背景で曲を書いたんです。
── 深いですね!
minato な、なんか恥ずかしいんですよ、こういうの! 「深読みしてくださーい」みたいな感じでごまかしちゃうんですけど、正直に語るとこうなりますよね。
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