このページの本文へ

ニコ動発アーティストの「今」を知る

バルシェ×minatoが語る、ここに注目「storyteller」!

2010年08月14日 12時00分更新

文● 広田稔

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

「個性がない」を超えるために

── まず、バルシェさんからお願いします。そもそもニコニコ動画に歌を投稿するきっかけは何だったんでしょうか?

バルシェ 他人の評価を気軽に得られるから。


── 簡潔ですね!

バルシェさん 公式イラスト

バルシェ コンテストに応募するよりも、どういうことを書かれるか分からないところに投稿した方が楽しそうじゃないですか。

 ニコニコ動画は、いいものはいいと言ってくれたり、「ここはこうした方がいい」とアドバイスをしてくれる方がいます。反面、建前がない世界なので、攻撃的なことをコメントする人も出てきますが、そこが逆に興味があったんです。身近な人が遠慮して言わないような意見でも、自分が客観的に見て納得できるものなら、改善につなげられますよね。


── 強いですねー。それまで音楽活動はしていたんですか?

バルシェ 小学生のころに鍵盤を習って、中学のときにブラスバンド、高校で軽音楽部。音楽は好きなんですけど、「歌手になるぞ」という考えは持っていませんでした。




── 歌でデビューしたいという気持ちはなかったんですか?

バルシェ デビューしたいというより、単純に歌うことが好きだったんです。中学生のときに歌謡教室に通ったこともありました。ただ、下見を怠ったせいで間違えて、カラオケを上手く歌うための教室に行ってしまったんです。


── ボイストレーニングなど、歌手を養成する場所じゃなかった?

バルシェ 普通のカラオケ教室でした。ただ、それでも意味がなかったわけではなくて、何でもかんでも元の歌手に似せて歌っていたときに「きみには個性がない」と言われたことがすごく心に残っています。

 アドバイスがきっかけで「個性がない自分では、歌の世界で渡っていけない」という気持ちを抱えてきたという。そこでニコ動でボーカロイド曲に出会ったとき、「これなら元の何かに影響をされずに歌える」と思ったんです。


曲の良さだけに頼りたくない

── ニコ動では、どういうスタンスで歌っていますか?

バルシェ 最初は歌いたいものを歌う、カラオケに声を乗せる、投稿、と言う感じでした。でも、2ヵ月くらい経ってから「こういう演出をしたら笑ってもらえるかな」と、ネタに走ることも増えてきました。基本的には、やりたいことをやりつつ、たくさんの人に聴いていただく、というスタンスです。

── 最近では「ブラック★ロックシューター」を投稿されていましたね。

バルシェ そうですね。仮音源は2月くらいにできていたんですが、納得していないところもあってアップロードするタイミングを見てました。




── 仕事が忙しくて収録できなかったとか?

バルシェ そうした理由もあるんですけど、「ブラック★ロックシューター」はたくさんの方に評価されている曲で、それに頼るかたちで投稿するのは、できればしたくなかったんです。対等というか、曲に依存しすぎず、歌の魅力でいけると思ったときに出したかった。100%できたかと言われると何なんですけど……。

minato 曲がなまじ有名なばっかりに自分の色が出せず、曲の良さに乗っかっちゃってるという状態が多分、嫌だったんだと思うんですよ。

バルシェ 元の曲が好きで聴いていただけるのも嬉しいんですけど、それだけでは納得がいかなかったんです。


── ニコ動の歌い手さんは、再生数を伸ばすために、そうした有名なタイトルを「課題曲」として、あえて歌っているのかなと思っていたんですが……。

バルシェ 今まさにランキングにある「旬」の曲を歌うのは、自分のスタンスの中では違う感じなんです。発掘されていない曲や、数年前に投稿された名曲を探したりするのが好きでした。もちろんそうじゃないこともありましたけど。

minato 流行ってる曲は、ほかの方が投稿した作品の中に「これいいなあ」というものが出てきてしまうんです。自分が聴きたい歌い方ってこんな感じかも、っていう。それが満たされてしまうと、どうしても選択肢から外れてしまうんです。たぶん、2人とも研究のために自分の歌をよく聴いてるから……ってこともあると思うんですけど。



(次ページに続く)



カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン