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AR夏祭り!! 「Summer Bash 2010」開催! 1日目

2010年07月31日 11時00分更新

文● 丸子かおり

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トークセッションと企業展示が主となった1日目

Twitter上に#arsummer2010というハッシュタグを作成。当日このハッシュタグを通してツイートされた発言は、会場のディスプレーに表示される仕組みになっていた

 AR空間における公共性や公共圏的な活動領域を確立・普及するために設立された非営利任意団体「AR Commons」。ARに携わる企業、団体などが参加し、ARに関する情報交換や議論ができるプロジェクトとなっている。

 そのAR Commonsが内田洋行/アスキー・メディアワークスとともに主催したカンファレンスが「AR Commons Summer Bash 2010」。AR界の著名人が集まり、7月28日、29日と2日間かけて行なわれたイベントだ。このレポートでは、トークセッションと企業展示が主となった1日目「Business Day」をお届けしよう。

 1日目に用意されたトークセッションは、いずれも非常に濃いメンバーで構成。まずはAR Commons主要メンバー、慶應義塾大学岩渕潤子教授による日本語/英語を交えたプログラム紹介でスタートした。

 基調講演に登壇したのは、韓国Zenitumのアルバート・キムCEO。「ARではGPSを使って"見る"ことが多いが、コンピューターに対象物を理解させることが大切」と、いわゆるマーカーを使わないマーカーレス型ARを示唆する発言を行ない、今後のARのあり方を解説した。

基調講演を行なったアルバート・キム氏

 その後、岩渕教授とキム氏と頓智・のCEO井口尊仁氏による、パネルディスカッションのテーマ解説と対話……が、なんと通訳なしの英語! さらにこの後も、AR界の著名人による英語のスピーチが行なわれた。

 英語のスピーチでは各自5分間が持ち時間。シリウステクノロジーズの関治之氏は位置情報連動メディア「ジオメディア」について説明。Gumiの国光宏尚氏は自社製品「刑事ハードボイルド」と海外展開についてスピーチ。バンダイナムコ未来研究所の山田大輔氏は、iPadをカンペ代わりに「アイドルマスター」と「セカイカメラZOOM」のコラボについて語り、秋葉原のUDXビルで巨大マジンガーZのARについても話していた。そして、クウジットの代表取締役末吉隆彦氏は、ARの歴史から同社の新作ARアプリ「GnG」を紹介した。芸者東京エンターテイメントの田中泰生氏は遅刻でスピーチできなかったというオチ。

英語のスピーチに戸惑うスピーカーと聴衆。運営から「楽天さんの社内はこういう空気なんでしょうかね」というタイムリーなひと言も

「ソーシャル・ウェブ、ソーシャル・ゲーム、ロケーション・メディア、そして拡張現実」

 そして続いてのテーマが「ソーシャル・ウェブ、ソーシャル・ゲーム、ロケーション・メディア、そして拡張現実」。東急エージェンシーの津田賀央氏を進行役に、Gumiの国光氏、シリウステクノロジーズの関氏、バンダイナムコ未来研究所の山田氏が、ARのソーシャルメディア化について討論。印象深かったのは、国光氏の「マネタイズにはまずパケホーダイやアイテム課金などのインフラ面の充実に加え、"みんなで遊んだらおもしろい。でもみんなが遊ばない"ようにならないよう、ひとりでも楽しめるゲームにすべきだ」というソーシャルゲーム論だった。

パネルディスカッションの様子。「ユーザーがARを気にする必要はなく、ARを意識させないARでいいと思う」など熱い議論が交わされたセッションだった

「拡張現実が加速するモバイルデバイスの進化とライフスタイル革命」

 次のプログラムは、「拡張現実が加速するモバイルデバイスの進化とライフスタイル革命」。頓智・の井口氏を進行役に、KDDI研究所の小林亜令氏、芸者東京エンターテイメントの田中氏、クウジットの末吉氏という豪華メンバーでディスカッション。井口氏が、「日本的カルチャーの提案が必要。外国から見たら"クレイジー"と思うかもしれないけど」と口火を切り、話題になったのは、芸者東京エンターテイメントの田中氏の「電脳メガネ」論。「グローバルとか日本とかアジアとか関係ない。おもしろいものを作れば、アメリカもヨーロッパもついてくる。たとえばワールドカップの試合の中にARで入っていけたら楽しいと思う」と。この話はTwitterのタイムライン上でも話題になった。

左から芸者東京エンターテイメントの田中氏、KDDI研究所の小林氏、クウジットの末吉氏、進行役の頓智・の井口氏

 また、クウジットの末吉氏は「うちもKDDIからAR専用端末出したいから、皆さんTwitterで書いて!」と切り出し、KDDI研究所の小林氏がタジタジになる一幕も。

法的解釈からARを俯瞰

 続いて、慶應義塾大学の岩渕教授を司会進行役に、コンセプトの森川和正氏と弁護士の牧野二郎先生、ピクスの中尾浩之氏による「ARビジネスの創造~アジア規模で考えるARプラットフォームとサステーナブルなビジネスモデル構築へ向けて」。このセッションでは、弁護士の牧野氏による、法的側面から見たARをめぐるトラブルと、ARがアンダーグラウンドな方向に行かずに発展する方法や、金融機関や政府が介入することなくなしえたFeliCaの理想的な発展のさせ方などを説明。さらに「約款を作れば作るほど法的リスクは高まる。できるだけ不要な事は書かない」と法的解釈からARを俯瞰した話には、聴衆も驚いたようだった。

岩渕教授、コンセプトの森川和正氏、弁護士の牧野二郎先生、ピクスの中尾浩之氏によるパネルセッションの様子

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