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記者会見に対する業界他社の反応は?

Appleは輝きを失ったか? 「iPhone 4アンテナ問題」の行方

2010年07月21日 22時00分更新

文● 鈴木淳也(Junya Suzuki)

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「問題発生はごく一部、だが我々はすべてのユーザーをケアする」

 16日に米カリフォルニア州クパチーノの本社キャンパスで開催された会見では、ステージに登場したJobs氏が開口一番「We're not perfect. Phones aren't perfect.」(我々は完璧ではないし、電話もまた完璧ではない)と発言し、問題が拡大してユーザーに心配させたことを謝罪している。その後はいつもの同氏のプレゼンテーションと同様にiPhone 4の販売台数が発売22日間で300万台を突破したことを報告、各種メディアやユーザーからの評価も高い同社が過去の製品と比較してもNo.1の携帯電話であることを強調した。

「We're not perfect. Phones aren't perfect.」(我々は完璧ではないし、電話もまた完璧ではない)

 そして今回の本題である「Antennagate」だ。同氏はこのAntennagateがiPhone 4のウィークポイントであり、実際にこの部分に触れることで電波状況が悪化することを認めた。だが同時に、これはiPhone 4固有の問題ではなく、市販の他スマートフォンでも発生する問題、ひいては業界全体の問題だとコメントした。例として、Research In Motion(RIM)の「BlackBerry Bold 9700」、HTCの「Droid Eris」、Samsungの「Omnia II」でそれぞれ本体下部を握り込んだときのアンテナ本数の減少の様子をビデオで紹介し、実際に他の製品でも起こりうる可能性があることを示した。またビデオの上映中、これらアンテナは握り込んでから実際に本数が減るまでに時間がかかるとも付け加え、こうした画面上でのアンテナ表示と実際の電波状況の差異がソフトウェアのアルゴリズムで発生するものだとも説明した。

今回問題となった「Antennagate」と呼ばれるiPhone 4のウィークポイント。ここに強く触れると電波の受信状況が悪化する
RIMのBlackBerry Bold 9700を使った握り込みによる電波状況悪化のデモ。このほかにもHTCやSamsung製端末による同様なデモが紹介されている
握り込み前後で各機種におけるアンテナ増減状況のまとめ。アンテナ周囲の握り込みによる電波状況悪化は共通の問題というのがJobs氏の主張だ。ここに強く触れると電波の受信状況が悪化する

 「実際の状況と表示が異なることで、アンテナが急に減る現象にユーザーが驚くことになる。そこで我々はソフトウェアの計算アルゴリズムを変更することで、より実際の状況に近いアンテナ本数表示を実現するようにした」と述べ、今回のiOS 4.0.1のアップデートにおける変更点を説明した。また「電波とアンテナ技術に関するノウハウが不足しているのではないか?」という声に応えるかのように、同社内の最新電波測定施設の写真をスライドで公開し、その投資額が1億ドル以上であり、18人の博士号を取得した専門エンジニアが設計や研究に当たっていると加えた。

Apple内にある電波検証施設。これだけで1億ドル規模の投資が行なわれているという

 「まとめると、まずスマートフォンには共通のアンテナに関する問題を抱えていること、そしてAppleCareで問い合わせてきたユーザーのアンテナに関する苦情が全体のわずか0.55%だったこと、そして米国でのiPhone提供キャリアであるAT&Tへの返品依頼の割合が3GS時代の3分の1だったこと、そして最後にAT&Tが集計したデータで“Call Drop”(通話中の切断)の割合が3GSの1%未満だということを合わせ、実際にiPhone 4でアンテナにトラブルを抱えているユーザーの割合はごく少数でしかない」というのがJobs氏の結論だ。

Jobs氏による今回の問題のまとめ。ユーザーにおける被害はごく小規模だという

 その後に続けて同氏は「だが、我々はすべてのユーザーのケアをしなければならない」と述べ、先ほどのiOS 4.0.1のアップデートに触れつつ、「iPhone 4を買うことを推奨しない」と酷評した米Consumer Reports誌の「バンパーの導入でアンテナの問題が解決している」という文章を引用し、29ドルのオプション扱いだった純正バンパーを無料配布すると発表した。対象となるのはすべてのiPhone 4ユーザーで、これまでにすでにバンパーを購入したユーザーには返金措置をとる。またバンパー無償提供は9月30日まで行なわれ、その後の対応は未定のようだ。このバンパー無償配布に関するアップデートは今週後半にもAppleのサイト上で発表されるが、もしこれら措置でも不満があるユーザーには最後の手段として「購入30日以内の全額返金」を実施するとした。もともと米国ではレシート付きの2週間以内の返品はごく当たり前のように行なわれているが、これはかなり強気の姿勢だろう。おそらく、ユーザーのほとんどはiPhone 4に満足しており、多少の問題程度では返品は行なわないとの自信の表れかもしれない。

iPhone 4ユーザーに対するケアはバンパー無料配布で対応。既存の購入ユーザーは返金を行なう。それでも納得しないユーザーであれば、30日以内の全額返金に応じるとした

 この他にJobs氏からiPhone 4に関するアップデートとして発表されたのは、本体に内蔵された近接センサーに関するバグ修正を行なったこと(通話中に本体への顔の接近を認識できず、タッチスクリーンが消えない状態で画面に触れてしまう現象)、そして待望のiPhone 4のホワイトバージョンの出荷を7月末より開始するというアナウンスだ。ホワイト版は当初少数での出荷となるが、徐々に需要に供給が追いつく状態に近付いていくという。また予告通り、7月30日より初期ローンチの5ヵ国に加え、新たに17ヵ国での出荷が開始される。ただし当初予告されていた韓国は除外されており、その理由は明らかにされていない。

 以上が16日の記者会見の内容だ。Jobs氏のプレゼンテーション部分のみ、Appleのサイトで閲覧可能なので、興味がある方はご覧いただきたい(要QuickTime)。

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