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最新パーツ性能チェック 第95回

TDPが4コアCPUと並んだ95W版「Phenom II X6 1055T」

2010年07月10日 23時58分更新

文● 宇野 貴教

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 4月29日にリリースされ、低価格6コアCPUとして自作ユーザーに認知されている「Phenom II X6」シリーズだが、下位モデルの「Phenom II X6 1055T」(2.8GHz)に早くも改良版が登場した。変更点は125WだったTDPが、95Wへ引き下げられたことである。

TDP95W版の「Phenom II X6 1055T」。OPNは“HDT55TWFK6DGR”

 この新しい95W版は、AMD製CPUで低消費電力版を表わす型番の末尾に“e”が加えられるといった区別はなく、125W版とまったく同じ型番で販売される。そのため125W版はメーカーの在庫がなくなり次第フェードアウトし、Phenom II X6 1055Tはすべて95W版になると予想される。

TDP以外の変更点はなし
動作電圧は大幅に減少

 95W版1055Tのスペックを見てみると、動作電圧以外の項目は、125W版とまったくかわらない。リビジョンも同一であることから、CPUコアには手を加えず、単に動作電圧を下げることにより30Wの省電力化を実現していることがわかる。実際に95W版を用いたPCを組み上げ、CPU-Zで内部パラメータを確認すると、やはり変更点は見あたらない。

CPU-Zで95W版Phenom II X6 1055Tを確認。パラメータや動作クロックなどは変更なしだが、動作電圧が1.2Vと大きく下がっている

 ただし、唯一の変更点である“動作電圧”が強烈に下げられている。6コアフル稼働時の動作電圧は125W版が1.4Vだったが、95W版はなんと1.2Vまで下がっている。両者の電流が同じと仮定すると、消費電力が約27%下がる計算になる。登場からわずか2ヵ月でここまで下がるのは、驚異的なスピードと言えるだろう。

TDP125W版(写真右)との比較。見た目の違いはOPNの刻印だけだ

ベンチマーク環境

 実際の消費電力を見るため、今回は新旧「Phenom II X6 1055T(2.8GHz)」の2つに加え、「Phenom II X6 1090T(3.2GHz、TDP125W)」、「Athlon X4 635(2.9GHz、TDP95W)」を用意し、アイドル状態(CnQはオン)と全コアに負荷をかけた状態で、システム全体の消費電力と、CPU温度をそれぞれ計測した。なお、CPUクーラーにはサイズの「KATANA3」を用いている。

テスト環境
CPU Phenom II X6 1090T BlackEdition(3.2GHz)
Phenom II X6 1055T 125W(2.8GHz)
Phenom II X6 1055T 95W(2.8GHz)
Athlon II X4 635(2.9GHz)
マザーボード MSI「890FXA-GD70」(AMD 890FX)
メモリー Corsair製「CMD8GX3M4A1333C7」(DDR3-1066 2GB×2)
ビデオカード GeForce 7600 GS
HDD Seagate「ST3160812AS」(160GB)
電源 Thermaltake「Toughpower QFan 650W」(650B)
OS Windows 7 Ultimate(32bit)

ベンチマークにはAMD 890FXチップセット搭載のMSI製マザー「890FXA-GD70」を使用した

サイズのサイドフロー型CPUクーラー「KATANA3」。実売価格は2980円前後

消費電力(単位:W) ←better

CPU温度(単位:℃) ←better

 95W版 1055TのCPU温度、消費電力の改善ぶりはすばらしいの一言で、ここまで差があると125W版と本当に同一なのかと疑ってしまうくらいだ。今回使用したCPUクーラーはミドルレンジ向けであるが、95W版の温度はかなり低めなので、「6コアCPUは魅力的だけど、発熱がちょっと」という人の不安を払拭できたと言えるだろう。

(次ページへ続く)

※お詫びと訂正:記事初出時、95W版の画像とOPNの表記に誤りがありました。訂正してお詫びいたします。

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