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Windows Serverで学ぶサーバOS入門 第25回

エンタープライズのルート証明機関の構築方法とは?

Windows Server証明書サービスを設定しよう

2010年07月20日 09時00分更新

文● 横山哲也/グローバルナレッジネットワーク株式会社

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証明書テンプレートの作成

 証明書にはさまざまな情報を含めることができる。そのため、手作業で登録すると漏れが生じる恐れがある。エンタープライズ証明機関では、証明書に含める情報をテンプレートとして登録し、必要な項目を指定できる。たとえば、暗号化メール用の証明書テンプレートを作成する場合、証明すべき内容(サブジェクト)は電子メールアドレスだ。また、証明書の目的に「電子メールの保護」を指定する。

 エンタープライズ証明機関では、Active Directoryと連係していることを活かして、セキュリティを構成することもできる。これにより、そのテンプレートを利用可能なセキュリティグループを制限可能だ。一般的な証明機関では、証明書の発行の可否は人間が決める。しかし、それでは大量の証明書を発行するのは困難である。セキュリティグループによる制限をかけることで、証明書発行の可否をセキュリティグループ単位で制御できる。たとえば、電子メールの暗号化を行なえるユーザーを特定の役職に限定可能だ。

 証明書テンプレートにはWindows 2000互換のバージョン1、Windows Server 2003以降で使えるバージョン2、Windows Server 2008以降で使えるバージョン3がある。バージョン1にはテンプレートの追加機能はない。Windows 2000でユーザー証明書の自動発行ができないのはこのためだ。また、バージョン3では暗号化アルゴリズムなどが追加されている。

 証明書テンプレートの作成は以下の手順で行なう。

(1)管理捜査の開始

 管理ツールの「証明機関」を起動し、「証明書テンプレート」を右クリックして「管理」を選択(画面3)

画面3●証明書テンプレートの作成

(2)テンプレートの複製

 証明書テンプレート管理ツールで基準にしたい既存テンプレートを右クリックし、「テンプレート複製」を選択。ここでは「ユーザー」証明書を選択する(画面4)

画面4●「ユーザー」という名称の証明書を選択

(3)バージョンの選択

 証明書テンプレートのバージョンを選択し、「OK」をクリック。ここではWindows 2008を選択する(画面5)

画面5●バージョンの選択

(4)テンプレートの属性を変更・確認

 ここでは表1の値を設定・確認する。特にテンプレート表示名の指定を必ず行なう(画面6~8)。テンプレート名はテンプレート表示名と連動するが、変更することもできる。その他のパラメータは基準となったテンプレートの値が継承される

表1●証明書テンプレートの設定項目

画面6~8●テンプレートの属性を設定する(表1も参照のこと)

(5)設定の完了

 必要な属性を設定したら「OK」をクリックする

以上で、テンプレートの作成(複製)は完了だ。

(次ページ、「証明書テンプレートの発行」に続く)


 

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