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柳谷智宣の「真似したくなるPC活用術」 第21回

音声認識ソフトを使って声で原稿を書く技

2010年07月06日 17時43分更新

文● 柳谷智宣

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少しでも認識精度を上げるための設定

 よく入力する人名や固有名詞は、辞書に登録しておくと認識できるようになる。認識率を上げるには、「洗濯機」を「せんたっき」としたり、「内角」(ないかく)と「外角」(がいかく)など、似た発音の単語を「うちかく」「そとかく」のように異なる読みで登録しておく手がある。ただし、あまり大量に登録するとマスター辞書とのバランスが崩れてしまうので、マニュアルには「最大で100単語程度」と記載されている。

単語登録画面

ツールバーから「単語登録」画面を呼び出す

単語登録一覧

単語登録一覧。エクスポートとインポートも可能

 また、よく使う文章を登録しておき、テンプレートとして呼び出せる機能もある。例えば「びじねすめーるてんぷれーと」で「謹啓 貴社におかれましては~」から、「今後ともご愛顧のほどよろしくお願い申し上げます 謹白」までのセットを入力できる。改行位置も自由に登録可能だ。テンプレートは大量に登録しても、辞書に影響を与えることはない。

テンプレートで短文を登録する

テンプレートで短文を登録する

 AmiVoiceの設定画面では、マイクの音量や音声入力の感度などの設定が可能だ。一番にチェックしたいのが「認識効率」の設定だ。初期設定では、速度優先と精度優先の中間に設定されているが、精度側へ最大に設定しよう。精度を優先すると処理時間がかかるようになるが、現在のパソコンの性能は、AmiVoice発売当時よりも格段に向上している。今時のパソコンなら精度を優先しても問題ない。

設定画面で「精度優先」に変更しよう

設定画面で「精度優先」に変更しよう

 ある程度音声を入力していると、「ボイス」というデータが溜まっていく。このデータを「音響学習」機能で学習させると、認識率がさらに向上する。音響学習をする場合は、使っているユーザーの声だけで行なうのがコツだ。

音響学習の設定

音響学習の設定

 変換に使う辞書は、用途別に4種類搭載している。柔らかい文体や顔文字を入力する「ブログ日記・メール辞書」、会話のような話し言葉は「しゃべりことば辞書」、ていねいな言葉づかいの文章は「書きことば辞書」、硬い文体で政治や経済の人名や専門用語を入力する「政治経済辞書」などが用意されている。それぞれの登録単語数は30万語ほどもある。一般的な文章には、「書きことば辞書」か「ブログ日記・メール辞書」を利用するといいだろう。

辞書の切り替えも自在に可能

辞書の切り替えも自在に可能


自分で読み上げた文章なら実用的に使える

 音声を認識する際、正確に変換できたかどうか怪しい部分は赤く表示される。そのほかの単語も、クリックすると別の候補が表示され、カーソルで選ぶと修正できる。しかし、誤認識している場合は、そもそも候補に入力したい文字列が表示されない。そうなるとキーボードで修正する必要がある。修正に関する機能は強化してほしいものだ。

エディタモードでの修正機能が弱い

エディタモードでの修正機能が弱い

 とはいえ、入力する音声がきちんとしていれば、修正作業も少ないはず。推敲は必須だが、下原稿と考えれば十分実用的に利用できる。

 ICレコーダーでのメモは、展示会や店頭、路上のほか、車内でも役立つ。両手がふさがっている状態でもメモが取れるのだ。新車のレビュー時などに活躍する。また、前述のようにインタビュー取材の音声をそのまま認識させることはできないが、録音を聴きながらユーザーが発声し直して、一気に変換させることもできる。2度手間にはなるが、「テープ起こし」が苦手な人なら、トータルの作業時間は短縮できる。

 筆者はタイピングが速いのでキーボードを利用しているが、腱鞘炎で手首が痛いときや、コーヒーブレイク時にブログの日記などを書く際は、音声入力で済ますこともある。日本語の音声入力ソフトは意外に侮れない。声で文章を入力したいというニーズがあるなら、一度試してみることをお勧めする。


筆者紹介─柳谷智宣

著者近影 柳谷智宣

1972年生まれ。ネットブックからワークステーションまで、日々ありとあらゆる新製品を扱っているITライター。現在使っているノートパソコンは、東芝のSS RXとMac。とはいえ、1年以上前の製品なので、買い換えを思案中。日経パソコンオンラインで「ビジネスパソコンテストルーム」、週刊SPA!で「デジペディア」を連載するほか、パソコンやIT関連の特集や連載、単行本を多数手がける。近著に「仕事が3倍速くなるケータイ電話秒速スゴ技」(講談社)、「PDFビジネス徹底活用技」(技術評論社)。


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