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FlexPortを使えば、iSCSI、FC、FCoE、10GbEも統合

カメレオンのようなスイッチで攻めるQLogic

2010年07月07日 06時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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7月6日、キューロジック(以下、QLogic)は記者発表会を行ない、新技術の「FlexPort」やグローバル・国内のビジネスを説明した。アダプタベンダーともスイッチベンダーとも異なるユニークな立ち位置で、データセンターのビジネスを推進する。

カメレオンのようなスイッチ「FlexPort」

QLogic アジア太平洋・日本地域営業担当副社長 マーティン・ダーリン氏

 米QLogic アジア太平洋・日本地域営業担当副社長 マーティン・ダーリン氏は、Qlogicのビジネス概要を説明した。QLogicはFC(Fibre Channel)アダプタのベンダーとして高いシェアを誇っており、競合としてはFCやEthernetアダプタのベンダーであるエミュレックスが挙げられる。とはいえ、同社はアダプタのみにとどまらず、FCやInfiniBand、iSCSIなどのスイッチも手がけており、この点ではシスコやブロケードと競合しているといえる。ダーリン氏は「3年前に発表会をやったら、FCアダプタだけがポートフォリオだっただろう。しかし、今ではストレージネットワーキング、コンバージドネットワーク、HPCの3つの市場にフォーカスしている」と述べた。現在は売り上げの7割強をホストアダプタに依存しているが、今後は新規ビジネスにあたるFCやInfiniBandのスイッチ、iSCSIルーターなどの製品やチップの割合を増やしていきたいとしている。

米QLogic コーポレートコミュニケーション担当シニアディレクター スティーブ・ジヴァニック氏

 続いて説明を行なった米QLogic コーポレートコミュニケーション担当シニアディレクター スティーブ・ジヴァニック氏は、FC、FCoE、iSCSI、Ethernetなどのプロトコルを1つのチップで統合するQLogicの「FlexPort」について説明した。ご存じのとおり、現在のデータセンターではFC、FCoE、iSCSI、Ethernetなど異なるプロトコルが混在しており、「今、シスコやブロケードからデータセンターのスイッチを購入しようとしたら、複数のスイッチを購入しなければならない。他社はプロトコルやポートを固定することを望んでいるが、これは古いデータセンターの技術だ」(ジヴァニック氏)となっている。FlexPort搭載のスイッチでは、ポートごとに利用するプロトコルを選択することが可能になるため、ユーザーは異なるプロトコルを利用する場合に製品を買い換えなくでも済む。複雑なデータセンターのインフラを柔軟に拡張することができる。

複数のプロトコルを単一のチップで実現する「FlexPort」

 他社との差別化ポイントとして、ジヴァニック氏はOEM先との良好な関係を挙げている。「シスコやブロケードと異なり、QLogicはOEM先と競合している製品は提供していない」(ジヴァニック氏)として、HP、NEC、富士通、日立製作所などのOEM先と競合するネットワーク機器を展開するブロケードの例を挙げた。新製品に関しても、OEM先との製品開発とマーケティングを優先し、時間が経ってから自社ブランドの製品をより入手しやすくするという流れを重視していくという。

OEM先の製品と競合する製品を出しているブロケードのポートフォリオ

16Gbps FCや40/100GbE製品もフォーカス

 次にQLogic日本事務所代表の安田稔氏が、日本での事業戦略を説明した。安田氏はQLogicの役割として「CPUのパワーは余っている状態で、ストレージI/Oやメモリのボトルネックも解消してきた。残っているとすればやはりネットワーク。私たちはここを向上していく」と説明した。現状、QLogicの日本でのビジネスは75%がOEM、25%が丸紅情報システムズやネットマークスといったチャネル経由での販売になっている。OEMに関しては、NEC、富士通、日立製作所など国内の顧客のほか、ヒューレット・パッカード(HP)、IBM、デル、オラクル、EMCといったグローバル顧客がいる。特にHPは同社が提唱する「Converged Infrastructure」のサプライヤとして高い地位を確立している。こうしたビジネスを今後も拡張し、2年後は「FCは16Gbps、Ethernetでは40/100GbEなどが普及すると見られ、ここが大きなビジネスチャンスになる」(安田氏)と新製品の投入も積極的に行なっていく。

記者発表会の会場で展示された自社ブランド製品とOEM製品

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